この歌は、加山雄三の歌です。
彼が、所有しているクルーザーの名前が、「光進丸」。
加山雄三の、この船への愛と思い入れが伝わってくる歌です。
この歌を聞くと、頭をよぎるのが、三宅島の想い出。
僕は、大学を5年も通ったクチですが、その5回の夏休みは、すべて、この三宅島で過ごしました。
過ごしたといっても、もちろんレジャーではありません。
アルバイトです。
当時、この三宅島にあったのが「三宅島観光ホテル」。
民宿が多い島にあって、唯一のホテルでした。
ここのパートを、島在住の、僕のオバサンがやっていたという縁で、
僕は、繁忙期となる夏には、大学で友人たちに声をかけまくって、十数人をかき集め、
勇んで出かけたものでした。
朝は、100名近い宿泊客の朝食の準備から始まり、終われば布団上げ。
それからオバサンたちと合流して、掃除の手伝い。
そして昼は、正午から4時まで自由時間。
夕方の部は、同じく夕食の準備から始まって、終われば布団敷き。
それから、夕食の片付け。
夜になれば、ホテルの女性客と、どこかへ消えてしまうグループ。
屋上に上がって、ギターを囲んで歌っている連中。
浜へ降りて、酒を酌み交わしている連中。
ホテルのスタッフと、朝まで麻雀をしている連中。
まあ、いろいろでした。
そんな日々を、同じ年頃の友人たちと過ごした夏は、まあまあ、楽しい思い出が満載でしたね。
で、この歌の想い出の主は、このホテルの料理長をしていた、当時27歳のカナメさん。
この方には、仕事もプライベートも含め、大変お世話になりましたね。
カナメさんは、実は、小さいながらも、ボートを持っておりました。
そんなことから、歌詞の中の一番いいところで、「三宅島」が出てくる、加山雄三のこの歌が大変お気に入りだったようです。
なんと当時の、マクセルの120分テープに、両面この「光進丸」だけをビッシリ録音。
ほとんど毎日聞いていたようです。
リピート機能や、エンドレス再生で聞けば、こんなに録音しなくてもいいんじゃないのと教えても、彼はニッコリ笑って一言。
「いいんだよ。気持ちの問題。気持ちの。」
僕らは、ちょくちょく、カナメちゃんの車には乗せてもらってましたから、あの年三宅島にいったバイトの連中ほぼ全員が、この歌をいやでも覚えてしまったんじゃないでしょうか。
三宅島は、その後2回にわたって噴火。
2000年の噴火の際には、ご存じのとおり、全島避難。
その後、風の噂に、カナメさんは、島へ戻って、元気に調理師として仕事を続けているとのこと。
おそらく今は還暦を迎えたくらいではないかな。
それでは、お世話になった、カナメさんをはじめ、当時のやんちゃ盛りだった我々を、
温かい目で使い続けてくださった、三宅島観光ホテルの皆さんに、敬愛の念を込めて、
この曲を歌わせてもらいましょう。
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