9月になってしまいましたが、八月編でございます。
十二年前の夏の、短歌グラフィティ 。
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平成十三年八月
盆踊り東京音頭で拍子取り本日ばあちゃん晴れのお立ち台
夏祭り商店街が着飾って大型店舗に一日対抗
出店らも引き上げ静まる境内の祭りの後に野良猫一匹
外人に道を聞かれて出る英語伝わらなくて日本語になり
田子の浦赤白煙突吐く煙たれこめた雲に飲み込まれゆく
関所越え峠の霧をわけて行く霧箱根八里のトラック野郎
夕暮れに豆腐屋のラッパ鳴り渡るここは東京下町亀有
ペルセウス夏の夜空に降り注ぐ流星たちを目を細め見る
故郷向かう高速渋滞風はなしお盆民族大移動かな
父帰る三人がかりの下の世話病院に送り深々一礼
高原の風が野を越え山を越え我がベランダにやって来た朝
海帰り外国帰り山帰り土産話が飛び交う三時
顔半分日傘の影に隠れてる着物の婦人のうなじ艶めく
夏休み最後の日曜家族連れ想い出作りのワゴンは北へ
夏休み最後の一日宿題を終えてない子は外に出られず
夏空に秋の空気が押し入って取っ組み合いの雨を降らせる
海の家人影まばらな午後三時麦藁帽子と花火の骸
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