ことの初めは、畑で野良仕事をしながら聞いていたyoutubeの動画「池上彰の現代史講義」
90分の講義が、全14回。
高校の時の世界史は、確か第二次世界大戦の前で、時間切れ打ち切りになっていた記憶ですので、その補講のつもりで聞いていました。
ところが、これが意外にも面白かったんですね。
気がつけば、畑仕事の手を休めて、気になった事件をWiki で検索。
池上氏が熱弁しているように、今のニュースを理解するには、現代史の知識は不可欠というのに大きく納得。
これを一気に聞き終えてしまうと、今度は俄然、それ以前の歴史にも興味が湧いてきました。
昔から、一度ハマり始めると止まらなくなります。
世界史といえば、高校時代は、人物の名前と、事件の名前と、西暦をひたすら覚えなければならない暗記科目として敬遠していました。
大学受験の社会科は、一般常識でも多少点数が取れると判断して、政治経済を選択していましたので、僕の世界史との繋がりは、とりあえずそこまででした。
百姓ですから、畑作業をやらないわけにはにはいきませんので、野良仕事をしながら流し聞きできる手頃な動画はないものかと色々と、「世界史」を検索ワードにして、YouTubeを探しておりました。
ヒットした中には、オリエンタルラジオの中田敦彦の「youtube大学 世界史」などもあったのですが、やはりパフォーマンス自慢の芸人の動画は、ジイサンの耳にはちとやかましい。
カズレーザー氏や、予備校教師のチャンネル、世界史自慢の一般教養系のユーチューバーのチャンネルもあるにはありました。
しかし、どれもピンと来ません。
色々と探して、最終的に見つけたのが、「世界史20話プロジェクト」でした。
YouTubeで受けられる無料の世界史授業です。
世界史を、高校の世界史Bにそって、内容を網羅的に20のカテゴリーに分けて全200回の授業を動画にしたプロジェクト。
一回は、およそ30分前後。
基本は、講師が黒板に板書していきながら解説していくという、高校の授業でお馴染みのスタイル。カメラはフィックスです。
もちろん、畑作業をしながら、iPhone で聞いているので、音声のみの聴講となりますが、講師が黒板に文字を書いていくあの懐かしい音と、その間がなんとも心地よい。
他の動画のように、うるさい広告も何故か入りません。
(YouTubeの広告の仕組みは、よくわかっていません)
畑作業中は、指先はたちまち泥まみれになりますので、そう度々iPhone をいじれません。
でも特に操作しなければ、順番にエンドレスに続いて講義が聞けるのも、このシリーズは極めて嬉しいところ。
講師の方も、いかにも世界史の教師といった30〜40代の男性の方で、妙にパフォーマンスに走らないのもよろしい。
もしかして、この動画を、給食後の午後の教室で聞いていたら、うつらうつらと舟を漕いでしまうのかもしれませんが、こちらは体を動かして野良仕事をしながら聴いておのますので、その心配はありません。
気がつけば、アウストラロピテクスから始まった世界史の授業は、現在第14話のフランス革命まで進んでいます。
高校時代に勉強をした世界史を面白いと思った記憶はありません。
しかしこの年齢になって改めて聞いてみると、これがなぜか意外にも面白い。
なんでかなと考えてみました。
ハタと思いあたったのは、やはり映画です。
高校時代では、まだ数えるほどしか映画は見ていません。
しかしその後、大学生になってからは、授業はサボって、浴びるように映画を見ていました。
会社勤めを始めるようになってからは、映画館にはいかなくなりましたが、代わりにビデオですね。
とにかく映画はずっと見続けてきました。
その中でも、史劇は個人的には結好きなジャンルだったんですね。
スペクタクルといえば、今でこそ、SFやマーベル映画の独壇場ですが、60年代までのハリウッドでは、古代史劇の専売特許でした。
旧約聖書の時代、モーゼの出エジプトを描いたのは「十戒」。
両手を広げると、真っ二つに裂ける紅海のシーンが有名です。
帝政ローマの時代、迫力の戦車競争が圧巻の「ベン・ハー」
(両方共に主演は、チャールトン・ヘストン」
それから250年後の共和政ローマの時代。
奴隷達の反乱を描いた「スパルタカス」。
アメリカの南北戦争時代を背景にした大傑作「風と共に去りぬ」
中世イタリアを舞台にしたシェイクピア戯曲が原作の「ロミオとジュリエット」(オジサンの世代では、なんといってもオリビア・ハッシーがジュリエットを演じた1968年版です。)
清朝最後の皇帝溥儀の数奇な運命を描いた「ラスト・エンペラー」などなど。
歴史映画は、基本的に、どの国が作っても製作費をたっぷりかけた大作になることが多いので、見応えは十分。
結構楽しませてもらってきました。
しかし、悲しいかなその映画の中身や俳優は覚えていても、その時代背景となると、これがまるでわかっていなかったんですね。
例えば、1961年に作られた「エル・シド」というアメリカとイタリアの合作歴史映画があります。
主演は、ハリウッド史劇の顔と言ってもいいチャールトン・ヘストン。
相手役は、ソフィア・ローレン。
この映画を僕は、中学生時代にテレビで前後編に分けて放映されたのを見ているのですが、主演がチャールトン・ヘストンということもあって、この年齢になるまで、これはローマ時代が舞台の映画だとばかり思い込んでいました。
しかし、とんでもない。
この映画は、中世のスペイン。レコンキスタの時代のイベリア半島が舞台の映画だったんですね。
この手の思い込みが、今回の世界史の授業を聞いていると、案外たくさんあるということがわかってきました。
要するに、高校卒業後に数多く見てきた歴史映画の記憶は、世界史の知識としては、あくまで点なんですね。
これが、改めてこの世界史の授業を、ノートに線を引くように、時代の流れとして聞いていくと、思わぬところで、その点とぶつかって、映像という太い線になっていくんですね。
これが結構快感。なんだか、わかったような気にさせてくれるというわけです。
「おお、これはあの映画の、あのシーンじゃん。」
というわけです。
映画だけではありません。
読書もそう。
改めて、iPadに在庫してある貯蔵書を検索してみると、「世界史」というキーワードでヒットした本が17冊もありました。
もちろん教科書はありません。
どれも、世界史の裏話的な小ネタを集めた本ばかり。
どうやら、なんのかんのといって、元々が世界史は嫌いじゃなかったようです。
これも、現在 YouTubeの授業と並行しながら、改めて片っぱしから読み直している最中です。
ヒットラー、ムッソリーニ、スターリンの登場によって、独裁政治は今ではあってはならぬ政治形態であるということが常識になっています。
しかし、遠いローマの時代には、何事も決められず、いざという時の対応が遅くなる元老院による共和政から、少人数支配の三頭政治へ。
そして、さらにシーザーによる独裁政治へと、現在の民主主義に至る道とは、時代が逆に進んでいったのは、興味深いところ。
フランス革命は、1789年に民衆がバスチーユ牢獄を襲撃して始まり、マリー・アントワネットがギロチンで処刑されておしまいの話だとばかり思っていましたが、授業を聞いていると、どうやらその後の展開の方が断然面白い。
王様が権威を失い、共和政になり、市民が皇帝を選ぶというナポレオンの第一帝政時代を経て、また共和政になり、再び王政復。またまた共和政に戻り、挙げ句の果ては、パリ・コミューンで社会主義も経験するという、そのドタバタぶり。
フランス革命は、民衆による王政打破の革命というよりも、むしろその後に展開された、あらゆる社会体制を取っ替え引っ替えするジタバタぶりの方が、より楽しいわけです。
授業は、この後、この前に聞いた「池上彰の現代史講義」の部分ともかぶっていきますから、畑で仕事をするのも楽し区なってきますね。。
実は、読書に関して言えば、ある時期から、小説はずっと避けていました。
理由は簡単。
のめり込みやすいので、読みだすと止まらなくなるのが分かっていたからです。
おそらく、しょっちゅう睡眠不足で目を真っ赤にして会社に行っていたでしょう。
車を運転するのが仕事でしたから、これでは危ないわけです。
ですからサラリーマン時代には、隙間時間にチョコチョコ読めるような、雑学系の本ばかり読んでいました。
世界史関係の本にしても然り。
「ここが一番面白い! 世界史の舞台裏」
「これだけは知っておきたい 世界史100の大事件」
「映画で楽しむ世界史」
「世界史 悪女のミステリー 歴史はスキャンダルから作られる」
「世界史迷宮のミステリー 闇に葬られた怪事件を暴く」
「大雑学10 世界史を彩る大恋愛」
「世界史おもしろこぼれ話 楽しみながら歴史に強くなる本」
などなど。
しかし、よくよく考えてみると、世界史とは、人類史上最も長い、大河小説と言えるのかもしれません。
要するに、実際の世界史は、物語として、縦にも横にも繋がっているんですね。
今まで見てきた歴史映画は、それのいいとこ取りだったわけです。
考えてみれば、いい歳をして、エライものにハマったものです。
しかし幸いにもサラリーマンは卒業していますのでよしとしましょう。
毎度のことながら、飽きるまではマイブームということで。
菅総理もコロナ対策で色々と大変でしょうが、改めて世界史を勉強してみるのも、今後の政権運営のためには、よろしいかと思いますよ。
是非、お勧めいたします。
少なくとも、あなたと同じようなことをした歴史上の人物が、いったいどういう運命を辿ったかは、大いに参考になると思います。
ね、スガーリン。
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