我が麗しの女優たち リン・フレデリック
- カタカナ表記:リン・フレデリック
- 英語表記:Lynne Frederick
- 出身国:イギリス
- 生年:1954年生まれ
- 没年:1994年
この文章を書くに当たって、AI に調べてもらって初めて知りました。
リン・フレデリックは、すでに他界してるんですね。
享年39歳ですから、若すぎました。
僕が、彼女のファンになったきっかけは、たった一本の映画です。
それは、1976年に製作された「さすらいの航海」という作品。
監督は、スチュアート・ローゼンバーグ。
60年代に、「暴力脱獄」「幸せはパリで」といった、僕好みの作品を残している監督です。
映画は、実話が元になっています。
1939年、ナチスドイツによる迫害から逃れようと、937人のユダヤ人が乗った客船セントルイス号がキューバに向けて出航するところから物語は始まります。
しかし、キューバ政府はユダヤ人の入国を拒否し、セントルイス号は行く宛てを失ったまま、大西洋を彷徨うことになります。
この実話を、映画はオールスター・キャストで描きます。
フェイ・ダナウェイ、キャサリン・ロス、マックス・フォン・シドー、オスカー・ウェルナー、オーソン・ウェルズ、ローレン・バコールといった錚々たる大スターがキャスティングにその名を連ねますが、その中にあって、眩い宝石のような光を放っていたのが、撮影当時22歳のリン・フレデリック。
彼女は、この作品で、アンナ・ローゼンというユダヤ人家族の娘を演じました。
アンナは、ナチスドイツの迫害から逃れるために、家族と一緒にセントルイス号に乗船します。
しかし、行き先のキューバ政府のユダヤ人受け入れ拒否を知り、絶望した彼女は、彼女に思いを寄せる船員マックス(マルカム・マクドウェル)と共に心中するという役どころ。
アンナは、マックスにこう懇願します。
「お願い。私を収容所に送らせないと、約束して。」
彼女の涙に打たれたマックスは、迷わずに、この船内で、彼女と一緒に心中することを決意します。
致死量の毒を持ったワインを飲み干した二人は、全裸で抱き合ったまま息絶えます。
とにかく、その心中のシーンで、マックスの目から一瞬たりとも視線を逸らさないリン・フレデリックの胸に迫る表情に、当時17歳の僕は完全にやられてしまいました。
基本的には、セクシー系女優の、フェロモンが匂い立つ魅力がお好みのスケベ映画オタクは、思いもよらず、この純真で、薄幸な美少女の魅力に、反応してしまったわけです。
それくらい、この映画の彼女は美しかった。
リン・フレデリックという名前を頭にインプットした僕は、すぐに彼女のプロフィールを調べます。
スマホも、インターネットもない時代ですから、調べるのは映画雑誌。
幸いにも、我が家は本屋でしたから、資料は豊富でした。
調べてみれば、いろいろな作品に出演しているようなのですが、残念ながら日本の埼玉県に住む映画オタクには、見る機会のないものばかりでした。
そのうち、映画雑誌の情報で、彼女はなんと30歳近くも歳の離れたイギリス俳優ピーター・セラーズと結婚したことを知り、これで潮が引くように彼女への興味がなくなったのはよく覚えています。
多分これ以降、ピーター・セラーズの映画も見ていませんね。
(訂正 「博士の異常な愛情」は見てますね。)
市井の映画ファンとは、かくも単純で残酷なものです。
しかし、結果的にはこの結婚が、彼女の女優としてのキャリアを奪ったようです。
1979年に、そのピーター・セラーズと共演した「ゼンダ城の虜」という作品が、大コケしたのを最後に、彼女の映画出演はありません。
このブログを書くにあたって、彼女のことは色々と検索して画像なども追いかけましたが、あの「さすらいの航海」の彼女とは別人のようなものばかり。
もちろんそれでも、美人であることは変わらないのですが、やはり違和感がありました。
何やら、ピーター・セラーズとの結婚が、財産目当てだったのなかったのとゴシップに取り上げられ、ハリウッドではブラック・リストにまで載ってしまったとのこと。
どんなに美人で、実力のある女優でも、このあたりの選択を間違えると、そのキャリアは一挙に崩壊してしまうもののようです。
清純派のリン・フレデリックは、結局あの映画でしか見られなかったのかもしれません。
清純派といえば、松田聖子がこの映画のリン・フレデリックと同じ髪型にしていた時期があったなあ・・・
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