自前のDVDが、5000枚もあるのに、なぜか、Amazon プライムの会員特典作品を見てしまいます。
在庫にない作品を選んで鑑賞しているのですが、単に貧乏性ということでしょうか。
それとも、「お楽しみ」はとっておこうというセコさからくるのか。
最近は、僕のようなクラシックでコアな映画ファンも楽しませてくれそうなラインナップが豊富なので、ステイホームの自粛が続いている現状の、数少ない在宅エンタメの一つとして、大いに利用させてもらっています。
さて本作は、チャップリンではなく、岡本喜八監督のコメディ。
チャップリンの「殺人狂時代」は、静かに戦争の狂気を風刺するブラック・コメディでしたが、そこは戦争体験者の岡本喜八監督。
殺人を「これでもか」というくらい痛烈に笑い飛ばす、ブラックでエネルギッシュなコメディにしています。
主演は、仲代達也。
通常の彼のイメージからは、およそかけ離れた、冴えないド近眼の大学教授役を嬉々として演じています。
演技派は、演技の幅を広げる役には、挑戦を厭わないようです。
但し、後半は次第にクールになっていきますので、この映画では、そのキャラクターの振れ幅を楽しんでくださいと言ったところでしょう。
しかし、本作は、Wiki によれば、東宝の判断で封切りを中止。
その後、まともな宣伝もされず、ひっそりと公開された挙句に、封印されてしまった作品。
しばらくは再公開もされなかったようです。
その理由は、見ているうちに判明しました。
天本英世(マッドサイエンティストを演じさせたら右に出る者がいない)演じる、溝呂木博士が経営しているのが精神病院。
なので、今のメディアでは禁句になっている「きちがい」という差別用語が作品中頻繁に飛び交うんですね。
この言葉が、差別を助長すると猛烈な抗議を受けてメディアで禁句になったの1974年からです。
ですから、この作品の製作当時はまだ規制はなかったので、バンバン使われてしまっている。
こうなると、テレビでの放映はちょっと無理。
1980年にやっとリバイバルされ、その展開予測不能な展開に、やっとカルト的魅力が認知されました。
さて、この時代の日本映画を見る時のお楽しみがあります。
この映画は、東宝製作ですが、当時の東宝系テレビ番組でよく見た顔が、映画の中に、チョイ役で出演しているんですね。
「ウルトラQ」の一平くん(西条泰彦)をバーの客で発見。
「ウルトラセブン」のソガ隊員(阿知波信介)も、バーの客でした。
この人は、多岐川裕美の旦那だった人です。
「ウルトラマンタロウ」の南原隊員(木村豊幸)もバーの客。
この人は僕の世代では、「青春とはなんだ」「これが青春だ」の劣等生役で覚えている顔です。
「ウルトラマン」のイデ隊員(二瓶正也)は、二役もやってました。
東宝の興行史上、最低の記録を持っている映画が本作とのこと。
でも、なかなかどうして、楽しみどころは詰まっている作品です。
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