全国新規就農相談センターが主催する「After5就農セミナー」に参加したのが1月25日。
当日のセミナーへ登壇された講師が、埼玉県小川町の有機農家「風の丘ファーム」代表の田下社長でした。
この野菜農家では、50種類以上の季節の野菜を、通年出荷しています。
もちろん有機野菜。
こういうスタイルの農家は、実は地方にはあまりありません。
地方の農家は、その農地の広さを活かして、たいていは、特定の野菜を単品で大規模につくります。
もちろん、大規模になればなるほど、有機農法は難しくなります。
とんでもない人手と手間がかかるからです。
大型のトラクターをフル活用し、既定の農薬をたっぷり使う、慣行農法がほぼ一般的。
ロボット・トラクターなど、最新技術でコントロールできるスマート農法がメインとなってきます。
田舎へ行けば行くほど、そうしないと採算が合わないことがほとんど。
多品種で有機野菜ができるのは、やはり首都圏の生活者に、直接販売できる近郊農家の特権ということになります。
地方に行って、このスタイルで営農するなら、直売所と契約する方法がひとつ。
そして、もうひとつセット販売で発送する方法がありますが、田舎へ行けば行くほど、当然送料の負担は大きくなります。
個人的には、今まで、やってきたように、とにかくいろいろな野菜を作りたいという思いがあります。
ただ、今年は、先輩たちがいなくなってしまった会社の畑を、とりあえず一人で続けると決めました。
そういうわけで、このインターシップで、多品種の有機農法を、いちからお勉強しようというわけです。
そして、ここで、教わったことを、そのまま自分の畑で実践してみようという魂胆です。
さて、風の丘ファームでは、正社員、パート、インターシップなど、様々な形態のスタッフが、延十人程度。
野菜たち相手の仕事ですから、会社は年中無休。
パート以外は、週休2日のシフトを組んで運営しています。
中には、今年入ったばかりのフレッシュな新人も二名。
そのうちの一人は、僕が行った1月25日の「After5就農セミナー」で、一緒に田下社長のセミナーを聞いていたという27歳の青年。
すでにインターシップを終え、正式に社員として、働いているとのことでした。
この三日間で実習した作業を、まずは書き上げましょう。
中には、すでに自分の畑において経験済みのものもあるのですが、それが如何にいい加減であったかということを痛感いたしました。
□ じゃがいもの種芋切り
種芋には、いろいなサイズがあります。
大きいものそのままの大きさで植えてしまうと、芽があちこちから出て食い合ってしまうので、いくつかに包丁で切り分けます。
芋の種類は、シンシア、デストロイヤー、シャドークイーン、ノーザンなど。
どれも、聞いたことのない品種でした。
□ 収穫
収穫作業をしたのは以下の通り。
コマツナ。
ホウレンソウ。
のらぼう菜。
ミニかぶ。(品種名を失念)
□ 種まき
赤サラダカラシナ
サラダカラシナ
ワサビ菜
ルッコラ
すべて、葉物です。
風の丘ファームでは、通年営業するために、最低でも20種類以上の野菜品目がいつでも収穫できるように年間スケジュールを組んでいます。
それでも、この時期が一番品薄になります。
そういう時期に合わせて、栽培調整が可能なので、葉物野菜は重宝しているそうです。
□ ジャガイモの種芋植え
一株ずつに切り分けた種芋を植えつけていく作業。
種芋の間隔はおよそ30cm。
置いた種芋の間に、ボカシと言われる自家製肥料を撒いていくのがこの農場のスタイル。
それから耕運機で覆土していきます。
書いてしまえばこれだけの作業ですが、これだけ広い畑ともなると、種芋の置き方ひとつにしても、いろいろとやり方を工夫していかないと体がシンドイ。
自分の狭い畑では、考えいているうちに、作業が終わってしまいますから、ほとんど我流でやっていました。
ここでは、淡々と作業するスタッフの皆さんの、一挙手一投足を、しっかりとインプットしてきました。
□ 管理作業
ネギの根切り
収穫してきたばかりのネギは、根っこも泥もついたまま。
この根っこの部分をハサミで切り落として、泥も適度に落とす。
ネギは、泥付きが保存には欠かせないので、商品になる程度には、泥を残すという塩梅が重要。
家の料理のつもりで、ちょっと深めにザックリきったら、早速奥さんよりクレーム。
「あまり、深く切ると、ネギの中心部分が、飛び出てきてしまうので、もっとギリギリできってください。」
ハウスの苗の管理
有機栽培を掲げている農家ですから、ここでは、種から発芽させて、きちんと育苗から管理しています。
田下社長曰く、
「苗は購入しません、作る段階で、大量に農薬が使われているので、有機になりませんから。」
なるほど。これは、目が点。
ということは、今までの僕らがやってきた野菜作りは、実は有機栽培にもなっていなかったということです。
これは、もっと根本から、しっかり勉強せねば。
育苗しているのは、ハウス内。
5棟のハウスのうち、3棟で育苗。
仕事終わりには、すべての苗に、ビニールシートをかけて保温。
朝一番で、シートを外して、太陽に当てる。
そして、昼休み後一番に、水やり。
これが基本です。
それから、社長と一緒に、収穫してきたほうれん草の水洗いもさせてもらいました。
□ 不織布
種まきの終わった畝に、不織布をかける作業。
これも、広いので、三人がかりで、午後いっぱいかかりました。
支柱をさして、トンネルアーチを組んで、不織布をかけていく作業。
かけ終わったら、支柱ごとに土をかけていきますが、最終的には、管理機で不織布のはしっこに土をかぶせていきます。
そして、その反対に、十分に育った、菜の花の畝から、不織布と、支柱を取り外す作業。
□ 出荷作業
これは今までいったどの農家でもみれなかった作業。
収穫してきた野菜を、顧客別に仕分けしていく作業ですね。
注文書に合わせて、計量して袋詰めをしていきながら、最終的には段ボールパッケージ。
夕方には、黒猫ヤマトのチルド車が、集配にきます。
自社で配達する近隣のものは、コンテナに入れておきます。
このあたりは、現役時代の倉庫作業でもやっていたことですから、わからなくもありません。
風の丘ファームの終了は、午後6時。
もうあたりは暗くなっていますから、この時期は最終的には、全スタッフが出荷場に集まって作業を手伝います。
まだまだ、勉強したいことはたくさんありますが、とりあえずインターンの前半戦は終了。
後半は、来週の火曜日と水曜日。
それまでに、前半戦で学習した、ジャガイモま種芋植えを、風の丘ファーム・スタイルで早速実践することににいたします。
畑では、すでに購入してあるもジャガイモ「男爵」様が、お待ちかねです。
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