正直申して、本作には少々面食らいました。
まず主演が、シュワちゃんではないこと。過去3作におけるシリーズのテンプレートがほぼ踏襲されていないこと。
タイムワープがないこと。ということはつまり、シリーズ定番の裸で登場して洋服をゲットするお馴染みのシーンもありません。
そして、敵方の殺人マシーンも最新型ではないこと、などなど。
ターミネーター・シリーズの4作目を見ているはずが、何か違うSFシリーズを見ているような妙な感覚でした。
しかし、登場人物はジョン・コナーであり、カイル・リースでしたから、間違いなくこのシリーズであることに相違ありません。
まずはAI にリサーチしてもらった、本作の興行成績から。
本作は、全世界で3億7000万ドル以上の興行収入を記録しました。
しかし予算は約2億ドルとされているので、興行的には期待されたほどの成功とは言えませんでした。
映画は賛否が分かれる評価を受けています。
特に、このシリーズのコテコテのファンからは期待外れとの声もありましたが、一方で新しいキャラクターやストーリー展開について好意的な意見も存在しました。
元々、この作品は、「スターウォーズ」や「バットマン」のように新たなトリロジーの第一作として計画されていましたが、公開後にハルシオン社が破産したため、その計画は中止。
そんな紆余曲折はあったものの、本作はシリーズの中で重要な位置を占めることになり、未来への道筋を描く作品と捉えることもできます。
本作でジョン・コナーを演じたのは、クリスチャン・ベイル。
本作の主役はこの人です。
クリスチャン・ベイルなら、ロートル・ファンでも知っています。
クリストファー・ノーラン監督の「バットマン」シリーズで、ブルース・ウェインを演じた人です。
ロバート・デニーロばりの、役柄へのアプローチで、与えられた役になり切る俳優ですね。
本作は、2009年に公開されたアメリカのSFアクション映画で、ターミネーターシリーズの第4作目です。
この映画は、前作の続編として位置づけられています。
監督はマクG(McG)、脚本はジョン・ブランカトとマイケル・フェリスが担当しました。
物語は、これまでのシリーズとは違い、2018年のポストアポカリプスの世界を舞台にしています。
スカイネットによって人類の大部分が滅ぼされ、生存者たちは地下に隠れながら機械軍と戦っています。
ジョン・コナー(クリスチャン・ベール)は人類抵抗軍の指導者として、スカイネットとの最終決戦に挑む運命を背負って奮戦。
この作品は、他の作品とは異なり、ほぼ全編が未来世界(とはいっても2009年時点での10年後)を舞台としています。
これがこれまでの三作とは決定的に違うところ。他の作品は、常にその時代の現代を舞台としていました。
従って、このシリーズ定番のテクノロジーによる時間移動描写は、本作にはありません。
ポストアポカリプス世界は、スカイネットによる核攻撃後の荒廃した世界が描かれ、人類と機械の全面戦争が進行中という設定。
本作においては、立派に成人したジョン・コナーが人類抵抗軍のリーダーとしてさらに成長する過程に焦点が当てられています。
本作で、新しいキャラクターとして登場してくるのがマーカス・ライト(サム・ワシントン)。
本作では彼が、ジョン・コナーと並んで中心的な役割を果たします。
2003年時点で、死刑囚だったマーカスは、サイバーダイン・システムズのセリーナ・コーガン博士(ヘレナ・ボナム・カーター)に説得され、自身の身体を医学研究に提供することに同意します。
そして2018年、廃墟となったスカイネットの基地で目覚めたマーカスは、混乱した状態で荒廃した世界に足を踏み入れます。
ロサンゼルスで、マーカスはカイル・リースと出会い、人類とスカイネットの戦争について知ることになります。
マーカスは、カイルと彼の相棒の口の聞けない黒人少女スターを救おうとする中で、徐々に人間性と共感を取り戻していきます。
人類抵抗軍の女性パイロットを救出したマーカスは、彼女の案内で、ジョン・コナーの基地へ。
しかし、そこで彼は自身がサイボーグであり、人類を罠にかけるための道具として命を与えられたことに、大きな衝撃を受けます。
これれにより、マーカスは、自身のアイデンティティと目的について深く悩み葛藤します。
いままでのシリーズで、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じてきたターミネーターは、本作においては、かくも人間的な感情をもって苦悩する、人間とロボットのハイブリットとして描かれるわけです。
しかし、マーカスはスカイネットの支配を拒否し、人類側に立つことを選択。
最終的に、マーカスは致命傷を負ったジョン・コナーを救うため、自身の心臓を提供する究極の自己犠牲を選びます。
マーカスは、罪の意識を抱えた死刑囚から、人類の救済者へと変化していきます。
彼の人間性と機械の部分との葛藤、そして最終的な自己犠牲は、映画のテーマである人間性の本質と救済の可能性を強調することになります。
本作においては、カイル・リースも重要な役割を果たしています:
アントン・イェルチンが演じるのは10代のカイル・リース。
2018年を舞台とする本作では、カイルはまだ若い難民として描かれています。
しかしカイルはスカイネットの抹殺リストの最優先ターゲットとなっています。
ジョン・コナーは、カイルが自身の未来の父親であることを知っているため、彼を守ろうと奔走します。
彼はジョン・コナーの放送に触発され、正式なレジスタンスに加わることを目指しています。
物語の中で、カイルは初めて未来の息子であるジョン・コナーと出会うことになります。
当然この出会いは、シリーズの時間軸において重要な意味を持つわけです。
カイル・リースの役割は、未来のヒーローの起源を描くとともに、ジョン・コナーとの関係性を通じてシリーズの核心に迫る重要な要素となっています。
本作では、これまでの作品で予言されていた未来を直接描くことで、ターミネーターの世界観を大きく拡張しています。
荒廃した地球の姿を詳細に描くことで、スカイネットの脅威の規模を視覚的に観客に示しているわけです。
常に危険が迫る環境だけに、キャラクターたちの行動には緊迫感が加わっています。
人間性とテクノロジーの対立というシリーズのテーマが、荒廃した世界を背景にしてより鮮明に浮かび上がってくるわけです。
しかし、個人的な感想を申し上げると、本作の出演者の中で、一番グッと来てしまったのは、口の聞けない黒人の女の子スターを演じたジェイダクレイス・ベリー。
指に負傷したマーカスに、自分のポシェットからそっとバンドエイドを差し出すシーンにはやられました。
本作の評価はなかなか厳しいものが多かったようです。
中でもやはり一番ファンの納得のいかなかったのは、シュワちゃんの不在でしょう。
シリーズで、シュワちゃんがクレジットされていない作品は本作のみです。
はたして、シュワちゃんが登場しない作品が、ターミネーター・シリーズといえるのか。
しかし、もし本作に彼が出演していたとしたら、61歳です。
如何に鍛えようとも、さすがにそこには往年の筋肉の張りはなくて当然。
そんなシュワちゃんを見てため息をつくよりは・・・
と思っていたら、そんなファンの声は承知ですよと言わんばかりのシーンがありました。
なんとT-800が、全盛時代の筋肉のままワンシーンのみ登場。
シュワちゃんのそっくりさんだったか、CGI 合成だったかはわかりませんでしたが、とにかく我らがシュワルツェネッガーの突然の登場には驚きました。
考えてみればこの時期のシュワちゃんは、カリフォルニア州知事のお勤めで、筋肉トレーニングしている時間はなかったはずです。
しかし、調べてみると、この後に制作された「ターミネーター/新起動ジェニシス」「ターミネーター/ニューフェイト」には、シュワちゃんがクレジットされています。
ここまで鑑賞してきたら、やはりいずれは両作品とも見ないわけにはいかないでしょう。
ちょっと怖いような・・・