黒澤明監督が亡くなられて10年。
BSでは、「没後10年 黒澤明特集」と銘打って、監督の作品および、特集番組が目白押しです。
撮り貯めていた番組を、今朝一気に見終わりました。
作品自体は、監督の全30作を、すべてDVDで保存。どの作品も、少なくとも最低3回以上は見ていますので、このシリーズではもっぱら、作品よりも、関係者のインタビューなどマメに、拾い集めました。
そんな中でもやはり、一番興味深かったのは、黒澤監督自身が語ったもの。
1991年の、「夢」完成直後のインタビューで、代表作「七人の侍について語った番組の再放送があったのですが、これが白眉でした。
僕は、ブログのネタの下調べとして、「ウィキペディア」をよく活用するのですが、この「七人の侍」の項を検索してみると、この番組での、黒澤監督の発言が、トリビアとして、多く流用されていることがわかります。
まあ、同じネタをここで並べてもシャクですので、今回は、そんな番組の中から、先日亡くなったマンガ家赤塚不二夫の語ったエピソードで、面白いものがありましたので紹介しておきましょう。
赤塚マンガといえば、なんといってもその登場キャラクターの多彩さ。
イヤミ、チビ太、ニャロメ、ケムンパス、ココロのボスなどなど。
そんな中で、僕がけっこう好きだったキャラクターがカエルの「べし」。
40代以上の方なら、パッと目に浮かぶキャラだろうと思います。
「もーれつア太郎」の中に登場してきます。
僕としては、当時、自分のノートにこのキャラクターを書きまくっていた記憶があります。
実は、このカエルの「べし」、赤塚氏のコメントによれば、そのアイデアの元になったオリジナルキャラクターというのが、「七人の侍」の中の登場人物だということ。
思わず、身を乗り出してしまいました。
さて、そのモデルとは、あの七人の侍たちではなく、村の長老・儀作を演じた高堂国典。
あの水車小屋に住んでいる、フガフガ口(僕は50手前ですでにこれですが)の爺様ですね。
村人が、侍を雇うという長老の提案にしり込みしているシーンで、儀作じいさんは、きっぱりとこう言い放ちます。
「やるべし!」
なにか新しいキャラを作ろうとしているタイミングで、この「七人の侍」を見た赤塚氏が、このシーンを見て、ポーンと膝をたたいたのでしょう。
そういえば、確かにあの「べし」は、カエルの割には(失礼)、げっこう含蓄のあるセリフをポツリポツリと語っていました。
後の映画、「隠し砦の三悪人」のデコボココンビ、千秋実と藤原鎌足が、ジョージ・ルーカス監督の「スターウォーズ」のC3POとR2D2のモデルになったのは有名な話しですが、この「七人の侍」にも藤原鎌足は農民役で顔を見せています。
この赤塚発言を聞いた後だということもあったのでしょうがが、今この映画をもう一度見てみると、なにやら、藤原鎌足のあの貧相な顔が、赤塚漫画のキャラクター毛虫のケムンパスに見えてきてしまいました。
確認しようにも、赤塚氏はすでに天国です。
「勝手に、想像するべし」
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