WOWOWの録画ストックの中から、本日は伊東四郎の舞台を 鑑賞しました。
オリジナルの書き下ろし脚本は、伊東を敬愛して止まない三谷幸喜。
演出は、スーパーエキセントリックシアターの座長で、同じく伊東を崇拝する三宅裕司という日本軽演劇界の最強コラボが実現。
伊東四郎が70歳の古希を迎えての記念公演にあたり、森繁久彌の「社長シリーズ」が大好きという三谷のアイデアから生まれたのが、今回の舞台「社長放浪記」。
キャストも豪華です。
座長の伊東、番頭の三宅を筆頭に、劇団東京ヴォードヴィルショーの佐藤B作、中村メイコ、山口良一、そして、注目のキャスティングは、伊東四郎の次男である伊東孝明との親子競演。
伊東四郎といえば、僕たちの世代にとっては、なんといっても、テレビ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』のベンジャミン伊東。
キャンディーズや小松政夫らと繰り広げたあの超ハイテンションの「電線音頭」のインパクトは強烈でしたね。
伊東四郎の芸の「面白さ」の真骨頂は、なんといっても「演じる」こと。
この喜劇界の大ベテランは、今でも自らを「あがり症」だといいます。
「素」の自分では、客の前にも、カメラの前にも立てない。だからこそ、「演じる」ことで、彼の芸は磨かれてきました。
石井均一座の即興芝居で鍛えられ、てんぷくトリオで一世を風靡し、司会者、役者と芸域を広げてきた彼の、喜劇人としてのふところの深さは、誰もが認めるところ。
彼曰く、
「忠臣蔵だって、あの物語を10分でやろうと思えば、コントになる。演劇と喜劇は紙一重。起承転結がなければコントじゃない。」
いまどきのタレントたちの「一発芸」なんぞは、芸でもなんでもないという、彼の「喜劇」に対する真摯な姿勢が、この言葉からは伝わってきます
そういえば、あの喜劇王チャップリンもこんなことを言っていました。
「人生はクローズアップで見れば悲劇。ロングショットで見れば喜劇。」
伊東四郎の目指すのは、その場で笑うだけ笑ったら、後は何も残らなくてもいいドライな喜劇だといいます。
「笑わせる」のではなく、思わず「笑ってしまう」のが、本当の芸。
演じる側の姑息な「ウケ狙い」は、すぐにあきられてしまう。
喜劇役者は、たくさんの「引き出し」を持っていなければいけない。それが芸の「幅」になる。
演じる側は、常に全身全霊で、「大真面目」に演じること。手抜きがあれば、それはすぐに客には伝わる。
この喜劇界の大御所は、極めて「真面目」な方です。
「どーかひとつ」長生きして、がんばってもらいたいですね。
「ニン」
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