優れたデジタルによる映像技術が高く評価された山崎貴によるSFアクション映画。
「リターナー」は、2002年の作品。
同監督の前作「ジュブナイル」の続編という扱いですな。
主演はアジアのスター金城武。謎の少女・ミリ役に鈴木杏。
さらに悪役怪演の岸谷五朗と、そして、樹木希林。
とにかく、山崎監督ご自慢のVFXの技術はたいしたものといっておきましょう。
「技術大国」日本の名に恥じない、デジタルエフェクト満載の娯楽映画になりました。
この道の先駆者であるハリウッド娯楽映画の「技」を、これでもかと、取り入れております。
「E.T.」からいただいたクリーチャーの造形。
「マトリックス」からいただいたワイヤーアクション。
「未知との遭遇」から「ターミネーター」、そして「エイリアン」まで、とにかく、いろいろな映画の要素を日本式に再現。
「へえ、日本映画でもできるんじゃん」
まあ、正直そんな感想ですね。
しかしながら、技術的な面では、遜色なくても、やはりハリウッド映画のインパクトに比べて、明らかに何かが足りない。
なんだろうと考えたら、それはやはり「脚本」でしょうか。
もうひとつ突っ込んで言えば、「オリジナリティ」というやつですね。
たぶん順番が逆なんですね。
つまり、通常であれば、まずシナリオありき。
シナリオがまずバッチリと決まって、そこから、いろいろな映像の技術へという展開にならなければいけない。
ところがたぶんこの映画はそれが逆なんだと思います。
つまり、自分たちは、まずこんなことができる。こういう映像を表現できる。
これが先にあって、では、この技術を生かせるような脚本をつくろうということになる。
だから、どうしても物語の展開が、とってつけたようになるんですね。
確かに、映像的には、スゴイ映画になっているんですが、いまいち、「芯」が弱いのは、そのあたりに原因がありそうです。
しかしまあ、そんな意味では、非常に「日本」らしい映画なのかなという気もします。
ただ、ラストのシークエンスは、考えたなという展開で、うまくひねりをいれて、まとめたなという感想。
とにもかくにも、日本の特撮技術の水準も、ここまできてるんだということは、素直に感動するとしましょう。
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