「刑事コロンボ」のことを書いて、ちょいといいたい事に火がついてしまいました。
なんのことか。
タイトルですね。
ミステリーのタイトルのつけ方って、やはり、作者のセンスが一番でるところじゃないかと思うんですよ。
ちょっと、コロンボシリーズのタイトルを拾って見ましょう。
意識の下の映像
自縛の紐
パイルD-3の壁
5時30分の目撃者
溶ける糸
断たれた音
指輪の爪あと
いかがでしょうか。なにか、いかにも「良質」なミステリーを見せてくれそうな期待をもてるタイトルではありませんか。
そして、中身を鑑賞すれば、そのタイトルはちゃんと、ストーリーやテーマとリンクしていて、ダブルミーニング、時にはトリプルミーニングにだってなっています。
僕は、松本清張の推理小説のタイトルが、好きで、何冊もそのタイトルだけでやられてしまって、手にとって読んでしまったものは数知れずあるのですが、このコロンボのシリーズもまたしかり。
予告編など見ずとも、しっかりとチャンネルを合わせて(まあ古い言い方!)しまいそうなタイトルが目白押しです。
そこへいくとなんですか。最近の日本の2時間ドラマのタイトルのつけ方は。
センスもへったくれもありませんよ。
土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 雨が燃やす紫の炎!!火の海から女マジシャンを救え!!灰の中の殺人発火トリックとは」
税務調査官・窓際太郎の事件簿18~浜松で一億円横領事件…社長は自殺!?老舗料亭の父と息子の確執に太郎が見た涙の真相とは!!」
森村誠一の終着駅シリーズ「窓・殺された清そな若い女、華やかな私生活の秘密・謎を追って雪の日本海に…」
なんじゃいこれは。
もう、そのマンマじゃないですか。
想像や期待の入り込み隙間なんてものは皆無。これ以上のものでもなければ、これ以下のものでもない。
テイのいいダイジェスト版ですよね。これでは。
ミステリーに不可欠と思われる、知的好奇心をくすぐるようなタイトリングの「技」は、、最近の日本の2時間ドラマには、まるで感じられません。
ただただひたすら視聴者の興味を、端的に刹那的に刺激して、とりあえず番組に引っ張り込もうという魂胆がミエミエのシロモノ。
製作側の「商業主義」がミエミエで、開いた口がふさがりません。
今の視聴者へのアプローチとしては、これで正解ということなのでしょうか。
思えば、僕らの世代の感性は、「ウルトラQ」あたりで、鍛えられましたね。
ちょっと、あのシリーズのタイトルを思い浮かべてくださいまし。
2020年の挑戦
1/8計画
鳥を見た
206便消滅す
ペギラが来た!
東京氷河期
宇宙指令M774
地底超特急西へ
どうですか。
当時の僕は、小学校1年生でしたが。
このタイトルで、しっかりとワクワクさせられていましたよ。
当時の円谷プロの面々たちは、これを「冷凍怪獣ペギラ出現! 東京が危ない! ビルの谷間が大雪原に !」とはやらなかった。
「ウルトラQ」の作り手たちは、僕たちが子供だからといって、なめてかかってはいませんでしたね。
そんな、見所を全部詰め込んだような「長くてクドイ」タイトルなんてつけなくたって、このタイトルに見合った中身をちゃんと見せてくれれば、こちらだってきちんと評価はするんです。記憶にだって残る。
だって、僕は、今でも「ウルトラQ」の全タイトルと、出てくる怪獣の名前は、ソラで全部いえますもの。
タイトルにだって、ちゃんと「かっこいい」は存在いたします。
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