5代目古今亭志ん生。
この人の古典落語が好きで、最近は YouTube でもっぱら聞いております。
落語の世界には、もちろんいろいろな名人がいますが、僕にとっては、この人は特別。
もうとにかく、高座に座って、もうそこにいるだけですでにおかしい。
話しだす前から、おもわずクスクス。
そんな落語家は、ちょいと見当たりません。
まさに、「笑いの神」から、選ばれた落語家だったと思います。
「面白けりゃア、いいんだよ」
例えば、志ん生の落語と、よく比べられるのが桂 文楽の落語。
とある評論家曰く、
「文楽の場合は一点一画もおろそかにしない芸質で、
噺のひとつひとつが完成品。
ところが、志ん生の落語は自由奔放。
興がのれば40分かける噺も、気がのらないと5分でやめてしまう。
それでいて、ちゃんとサゲ(落ち)までもっていく自在さがすごい。」
志ん生の落語は、まさに「いい加減」と紙一重。
登場人物を混同したり、噺がとんでもない方向に走ってしまうこともちょくちょく。
酔ってへべれけのまま高座に上がり、怪しいロレツで噺が混乱。
そのまま噺半ばで眠り込んでしまうなんてこともあり、ここまでくるともうそれ自体が立派に落語。
それでも、客は爆笑に次ぐ爆笑。まさに、面白ければ、文句はないということです。
志ん生を知る人は、よくこういいますな。
「例えば、もの凄く才能ある者が日々落語の精進することで、文楽にはなれたとしても、
志ん生にはなれない。
志ん生の落語は、人間・志ん生がまるごと出てくる芸だから」
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