wowow でオンエアされたものを、DVDにダビングして鑑賞。
貴志祐介氏原作による、サイコ・ホラー作品です。
監督は三池崇史、主演は伊藤英明。
まあ、とにかく、映画の後半が、まるまるクラス全員皆殺しの殺戮シーンですから、R15+指定はやむなし。
以下は、かなりのネタバレになりますので、読まれる方はご注意を。
主演の、伊藤英明といえば、「海猿」シリーズで、スーパーヒーローを演じできたわけですが、
今回の作品は、その真逆のシリアルキラー。
「ちょっと、ヒーローやり過ぎたな」と彼が思ったかどうか。
とにかく、あのシリーズの後で、彼がこのオファーを受けた気持ちは、
なんとなくわかる気がしますね。
殺人鬼をどう描いたら、怖いのか。
ヒッチコックは、そのあたりの映画的工夫を、いろいろと残してくれましたが、
この映画では、そんな演出をせせら笑うかのように、ある一線を越えたところから、
一切の感情を排して、それまでの生徒とのコミュニケーションなど、一切なかったかのように
「マック・ザ・ナイフ」のリズムにのって、教師が生徒を、ひたすら殺しまくる演出。
ハリウッド映画のような、ド派手な音楽で、畳み掛ける演出にしていない
ところは、僕好みでした。
もちろん、血しぶきが飛び散るスプラッター演出は、凄まじかったのですが、
それ以外にも、撃たれたら、生徒が不自然なくらいにすっ飛ぶというなど、
ビジュアル的には、工夫されてました。
生徒を一人ひとり殺してゆく過程では、監督は、主運の伊藤英明に、ほとんどセリフを
いわせません。ライフルの音で、耳がおかしくなる仕草を、ところどころでさせるのみ。
しかしこれは正解で、ここで生徒一人ひとりと下手な小芝居を入れない方が、怖さは伝わりました。
彼のセリフは、校内放送以外は、最後になって一言。「みなさん、卒業おめでとう」くらいだったかな。
まあ、そこまでは徹底していてよかったんですが、ラストで警察に連行されていく時に、
わざわざ不自然に立ち止まらせて、生き残った生徒に向かって、たっぷりと、
主演の芝居をさせてしまったのがちょいと悔やまれるかな。
まあ、PTAや教育関係からは、とんでもない映画だという話になるのでしょうが、
バイオレンスは、今も昔も、立派に映画に求められるエンターテイメントであることには、間違いない。
せめて、映画の中くらいは、これくらいの「非日常」を楽しませてくださいませ。
なお、拙いイラストには、2013年とクレジットを入れてしまいましたが。これは2012年の誤りでした。
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