このところ、映画ポスターのイラストにハマっています。
さて、今回は日活の作品3本立て。
まず、これは「キューポラのある街」。
昭和37年の作品で、監督は、浦山桐郎。
ほぼこれが映画女優としての出世作となった、主演の吉永小百合はこの時17才。
この映画の舞台は、鋳物工場の多い埼玉県の川口市。
キューポラとは、鉄の溶解炉のこと。
僕は、お隣の浦和市に住んでいましたが、実はこの映画は未見。
あのタモリをして、「サユリちゃん」と言わせしめる健康闊達な健気な女子を
演じさせたら日本随一の女優で異論を言う方はいないでしょうが、
不健康な映画オタクの僕にとっては、この方はちょっと健康的すぎて、
眩しい感じがいたしますね。
僕がこの人を女優として意識したのは、おなじみの寅さん映画に出演した時の彼女。
特に13作目の「寅次郎恋やつれ」では、彼女の父親を演じたあの名優・宮口精二と共に、
見事に、大人の女優に脱皮した彼女の演技か心に残りました。
監督の浦山桐郎は、後年けっこう荒んだ生活を送っていましたが、それを見兼ねた彼女が、
自分の新作映画「夢千代日記」に指名。
自分を女優として、世に送り出してくれた恩人である監督に、
大女優となった彼女が、手を差し伸べたというのは有名な話。
「銀座の恋の物語」
これは、おなじみのデュエット定番ソングの映画化。
やはりこれも、昭和37年の映画です。
この歌が、巷でヒットしたのは、前年の昭和36年。
実はこの曲はもともと、同じく裕次郎主演の日活映画「街から街へつむじ風」の挿入曲でした。
それが、あれよあれよという間に300万枚もの大ヒット曲になったところで、改めて、
この曲を主題歌にした映画が、翌年に作られたというお話。
裕次郎とデュエットした、牧村旬子も、もちろんこの映画には出演しています。
とにかく、この頃の日活スターたちは、大忙しでした。
来る日も来る日も映画の撮影に追われ、プライベートな時間などまともに取れないような
スケジュール。
だから、毎日顔を合わせる俳優同士がカップになるのは、ごく自然の流れだったようです。
石原裕次郎は、ご存知のように北原三枝とゴールイン。
二谷英明は、白石由美。
藤竜也は、芦川いづみ。
長門裕之は、南田洋子。などなど。
売れっ子俳優同士のカップルが、たくさん成立していました。
今のアイドルたちは、恋愛ご法度が常識ですが、当時の日活には、ビッグスター同士の
恋愛が発覚しても、そっと見守ってあげようという紳士協定があったようですね。
さて、この映画は、「残雪」。
舟木一夫の歌った歌謡曲のヒット曲を主題歌にした日活お得意の青春歌謡映画。
基本的に、僕は純愛映画は苦手なのですが、この映画の印象が強烈に残ってます。
実は、僕は小学校2年の時まで、東京都大田区の平和島に住んでいたのですが、
駅から国道1号線を渡って、一本路地に入ったところにあった映画館の息子が、
当時の僕の大親友でした。
そんんなわけで、彼の住まいである映画館の二階には、ちょくちょく遊びにいきました。
もちろん、彼の部屋からこっそり忍び込んで、上映中の映画を見ることも度々。
彼の映画館は、日活の封切館でしたので、この映画も多分その時に、
入場料を払わずに見ています。
もちろん、ストーリーなどは覚えていませんが、主演の舟木一夫の相手役となった
松原智恵子のお人形のような美しさには、子供ながらに圧倒された記憶があります。
「こんな綺麗な人に会うには、映画館にいくしかない。」
以降、これが、僕が映画を見に行くことの大きなモチベーションになったことは言うまでもありません。
後年、この松原智恵子が、TBSのドラマ「時間ですよ」の、ふみさん役で、銭湯の嫁を演じ、
夫である松山英太郎との入浴シーンが出てきた時には、異様に胸がドキドキしたのを覚えています。
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