1968年の東映作品。
主演は藤純子。
任侠映画の最盛期を走り抜けた東映の「華」であり、女優寺島しのぶの実母。
もちろん、その名前は知っていましたし、近年は精力的に映画やドラマに出演しているのも承知しています。
しかし、彼女の名前を決定的にしたのは、やはりこの「緋牡丹博徒」シリーズの矢野竜子役。
そのキリリとした容姿で、彼女は、任侠映画のファンを鷲掴みにして、最盛期には高倉健や鶴田浩二よりも観客を呼べる東映の金看板でした。
後年の彼女の出演作品は、何本か見ていますが、実は、この「緋牡丹シリーズ」は未見。
今回はじめて見ました。
お決まりの、片肌脱いで、緋牡丹の入れ墨を見せて啖呵を切るシーン。
当時の任侠映画ファンたちが留飲を下げたシーンはこれかと納得した次第。
このシリーズで人気絶頂の頃に、歌舞伎役者、尾上菊五郎と結婚引退。
その潔さは、後の山口百恵にかぶりますね。
「肥後熊本は五木の生まれ、姓は矢野、名は竜子、通り名を緋牡丹のお竜と発します」
予告編などでは、散々聞いたこのお決まりの仁義。
映画の中でみたのは、今回がはじめて。
東映が全力投球しただけあって、賭場のシーンも迫力があるなあと思っていたらこの作品の賭博のシーンは実際に本物のヤクザに客として並んでもらったとか。
彼女の引退で、東映はこの後、エログロポルノ路線へとシフトしていきますが、その路線のスタートになったのは案外、このシリーズの藤純子の片肌だったかもしれません。
この映画を見ていて、僕の脳裏をしきりによぎったのは、当時オンエアされていた「旅がらす紅お仙」。
昔々ボンカレーのパッケージで笑っていた松本容子主演の、時代劇ドラマです。
彼女のいでたちは、緋牡丹お竜とそっくり。
共演は大信田礼子。
このドラマの主演だった「くれないお仙」の佇まいが、どうしても「緋牡丹お竜」と重なってしまいました。
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