定年退職後は、田舎へ引っ込んで、自分の畑で野菜作りをしたい。
そう心に決めて、はや5年。
いよいよ来年はその定年イヤーとなります。
都会生まれの、都会育ちですので、今は、焦らずに、その時が来るまで、田舎暮らしのイメージトレーニングに精を出すことにいたします。
「奇跡のリンゴ」の木村さんの著書は、そんな訓練には最適。
農業で生計を立てるなら、農薬重視の一般栽培で、単品を大量栽培することなのでしょうが、それをするつもりはありません。
オーガニックの有機栽培でもない。
やはり、木村流の自然栽培に魅力を感じます。
実際に、野菜作りを始めれば、そう綺麗事ばかりも言っていられないものなのでしょうが、可能な限り、自然のものには何も加えない農法。
その代わりに、自分の身体を使って手入れをしていく農法。
このやり方で、野菜作りをしてみたいという想いは、日に日に強くなります。
自分の体で動けた分だけ、自然の恵みを収穫し、それを自分で食べる。
それは、街に暮らしていると、まったく失ってしまう感覚です。
でも、会社の畑で野菜作りを楽しんでいるうちに、いつかは、こちらを生活のメインにしていきたいと自然に思えるようになりました。
貧乏はするでしょうが、それと引き換えに、もっとかけがえのないものを得られるような気がします。
木村さんの畑は、青森県の岩木山の山麓に広がるりんご畑。
この本では、りんご農家の、一年の暮らしが淡々とつづられています。
移ろいゆく四季の中で、自然と自分の畑に愛情を持って向かい合う毎日。
一年というスパンの中で、自然農法の農家が日々何をして生活を営んでいるか。
これが、鮮明にイメージできたことは、収穫でした。
自然農法には、やってはいけないNGはありますが、これをしないといけないという絶対的な正解はないということ。
すべての答えは、自分の目の前の自然と付き合いながら、導いていくということ。
ちょっとくらいの失敗なら、「撹乱」という対応になり、むしろ自然に対してはいい結果をもたらすこともあるということ。
日々、パソコンに向かって暮らしていると、どうしても情報過多の頭でっかちになりがちです。
どうしても、理論的正解を求めたくなるもの。
しかし、もともとこちらの頭で予測不可能な自然の世界に、絶対的な正解はない。
ただひたすら、その時々の状況に応じた、その時の解答があるのみ。
そして、その結果を見て、それが正解なら理屈はそこから勉強する。
自然相手の農法は、頭だけではなく、五感と手足を総動員して付き合う農法。
呑気に定年後から、農業を始めて、果たして、どこまでたどり着けるかはわかりませんが、それはそれ。たどり着いたところまでで上等。
要は、貧乏でもそんな暮らしを楽しめれば良しとします。
木村さんのりんご農家の一年も、僕なら、そこに、道楽のビデオカメラを持ち込んで、日々の畑の様子をYouTube に発信して、仕事をしながら楽しむんだろうなと勝手に想像しておりました。
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