WOWOWオンエアを録画してあったものです。
デッキに録画したままなのですが、これがWi-Fi経由で、iPad で見れます。
便利になりました。
1959年の東映作品。
僕の生まれた年ですから、もう60年前の映画。
まだまだ映画が元気だった頃の時代劇です。
監督は、内田吐夢。
主演は、中村錦之助。後の萬屋錦之介。
相手役は、綺麗な綺麗な有馬稲子。
この方があまりに綺麗なので、錦之助さん、おもわず見染めて、後に嫁さんにしてしまいます。
原作は、かの近松門左衛門。
映画の中では、狂言回しとして、御大片岡千恵蔵が演じています。
もともとは、人形浄瑠璃の「冥途の飛脚」。
これは、歌舞伎にもなりました。
いわゆる心中もの。
江戸時代の、心中ものといえば、「曽根崎心中」がなんといっても有名ですが、これも近松門左衛門の筆によります。
心中が江戸時代のエンターテイメントに取り上げられるようになると、江戸の色街では、一斉に心中が大ブーム。
頭を抱えた幕府は、心中ものの演目を禁止して、心中したカップルで、生き残った方は、極刑に処すなど、その家族も含め厳罰に処しました。
心中を扱うと、とかくドロドロとしがちですが、この作品は人形浄瑠璃テイスト。
内田吐夢監督は、ドラマ性よりも、あくまで様式美にこだわりました。
「ちゅうさま〜」と叫びながら、ヨヨヨと泣き崩れる遊女梅川。
でもここは、彼女の演技力というよりも、その洗練された時代劇の所作を楽しむべきでしょう。
昔の女優さんは、みんなこれが出来たんですね。
とにかく仕草の1つ1つが、なんとも艶っぽい。
それをみているだけで、たまりません。
この頃の映画黄金時代の、時代劇は、これがたっぷり楽しめます。
特に有馬稲子は、日本舞踊の嗜みもあり、宝塚で修行も積んでおり、その所作は完璧。
惚れ惚れしてしまいます。
中村錦之助演じる忠兵衛が「封印切」の大罪を犯してまでも、彼女にぞっこんになってしまったのも無理からぬ話。
この映画は、彼女の美しさがなければ成立しません。
その辺りを楽しむべきでしょう。
その他、この映画には、田中絹代、千秋実などの芸達者も出演。
内田吐夢監督がこだわった、その様式美ゆえ、映画の中のどの場面をどう切り取っても、一幅の絵画の趣。
映画のキャプチャー画像を使用するとWOWOWに、怒られますので、イラストにしてみました。
絶対に、いまの映画界では、つくれない映画です。
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