1989年製作ということですから平成元年の作品。
公開当時は、僕はすでに30歳でしたから、怪獣映画からは一番遠ざかっていた頃。
今回初めて見ました。
監督は、畑違いの大森一樹。
昭和ゴジラに歓喜していた世代ですから、彼なりの思い入れもあったのでしょう。
冒頭で、破壊された新宿が出てきます。
これは、1984年に作られた「ゴジラ」のラストを踏まえていて、その続編という立ち位置。
ここで、採取されたゴジラの細胞と、バラの細胞が融合されて出来た、植物と動物の中間的な怪物がビオランテ。
バイオテクノロジーが大きく取り上げられたのは、大森監督が、医学部出身だからでしょう。
主人公は、三田村邦彦。
テレビの「必殺シリーズ」と「太陽にほえろ!」のジプシー刑事で名を挙げていました。
その恋人役のヒロインに元キャンディーズのスーちゃんこと田中好子。
「普通の女の子」から復帰して、女優業邁進中の頃。
同じ年に、今村昌平監督の「黒い雨」に出演していて、女優開眼。
すでに、スーちゃんのイメージではなくなっておりました。
「ゴジラとビオランテ。勝ったほうが、我々の敵になるだけ。」
渋いセリフを吐く、自衛隊の若き将校に高嶋政伸。
この撮影当時、彼は23歳でしたから、ちと若すぎたかも。
昭和ゴジラの後期に、子供たちのアイドルと化したゴジラに、大森監督もやはり忸怩たる思いを抱えていたのでしょう。
映画の展開は、明らかに大人向けの一般映画志向。
正義のゴジラに違和感を持っていた、当時の大人たちに向けて作られてはいましたが、興行的には前作を下回る結果。
もはや、昔の怪獣少年たちは、怪獣映画には、ときめかなくなっていたということでしょう。
「ウルトラシリーズ」に胸ときめかしていた少年としては、ビオランテの造形には、グッとくるものがありました。
「ウルトラQ」の第4話「マンモスフラワー」で登場したジュラン。
「ウルトラマン」の第5話「ミロガンダの秘密」に登場した植物怪獣グリーンモンス。
そして、「ウルトラセブン」の第2話「緑の恐怖」で、ワイアール星人に操られていた生物X。
思い出す限りの、ウルトラシリーズに登場した植物系怪獣ですが、バラの細胞を持ったビオランテは流石に美しい。(変態した後は、凶暴になりますが)
冒頭で、当時の初代東宝シンデレラ・ガールだった沢口靖子が特別出演。
2代目のシンデレラ・ガールとなった小高恵美は、この後、平成ゴジラシリーズにフル出演の、常連になっていきます。
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