「どうせまた、漫画が原作なんでしょ。」
「こういうSF特撮ものは、結局スピルバーグには敵わない。」
これは、見る前の正直な僕の感想。
もちろん、原作の漫画は読まずに映画から入りました。
何を今更「寄生獣」とおっしゃる方もあるでしょう。
でも、しょうがない。
見たのが今なんですから。
原作の漫画が掲載されたのは、1988年とのこと。
あらま、これは相当古い。
その後、いろいろとメディアミックスの企画があって、映画化は、満を持しての2014年製作。
完結編が翌2015年。
監督は、山崎貴。
あの「ALWAYS 3丁目の夕日」の監督ですね。
この方、特撮ものを得意とする監督です。
人間に寄生したパラサイトが、その人間の体を乗っ取って、人間の社会で静かに増殖していく。
人間を食らうパラサイトのエグい描写のオンパレード。
もちろん、これだけでも、そこそこ観客は呼べたでしょう。
この設定の映画なら、「遊星からの物体X」がありました。
監督は、ホラーの巨匠ジョン・カーペンター。
「ヒドゥン」というのもありましたね。
これは、1987年の映画でしたから、もしかしたら、この「寄生獣」の原作に影響を与えたかもしれません。
ですからビジュアル重視の、SFアクション映画の作品としても、そこそこの集客はあったでしょう。
しかし、この映画は、ちょっと違った。
そこを入り口にして、次第に観客に、深遠な哲学的命題を突きつけてきます。
おっ、そうきたか。
オジサンも、しっかりと唸らせる、ストーリー展開。
基本的に、日本の漫画文化には、ちょいと距離を置く立場ではありましたが、この作品に関しては、なんといっても原作の描く「世界観」に脱帽。
ここまで考え抜かれていれば、スピルバーグも舌を巻くでしょう。
もちろん、山崎監督によるビジュアルの功績は大きい。
しかし、それよりもなによりも、この映画を超一級の娯楽エンターテイメントに押し上げたのは、原作の描くしっかりとしたSFワールドの魅力。
やはり、日本の漫画を、侮ってはいけないようです。
これだけ良く出来ていれば、そりゃあ映画にしたくもなるよというお話。
これはやはり、岩明均エライ!
人間を捕食して増殖してきた深津絵里の演じるパラサイトのリーダーは、最後にこう言います。
「そんなに、我々をいじめるな。我々は弱い。」
こういうレベルの高いSF映画で、時には人間について考えてみるのも悪くないぞ。
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