初めに申し上げておきます。
これは、完全に見栄です。
僕は学校の教科で、唯一先生に褒められたのが「作文」だけという、コテコテの文系。
数学、理科などの理数系科目は、通信簿で3が取れれば上等。
ほとんどが、2であり、学生時代を通じて唯一赤点を取った教科も数学でした。
分数まではついてゆけたような気がします。
素因数分解あたりから、怪しくなりはじめ、集合、行列あたりから完全に遅れだし、微分積分、三角関数の頃には、完全に周回遅れ。
当然のように文系に進み、国語、社会、英語だけで受験はできましたので、なんとか大学には入れましたが、もしも、入試に理数系の科目があったとしたらアウトでしたね。
そのコンプレックスと、罪滅ぼしの意識からか、この手の本はときどき買って読むことがあります。
作る方も、理数系の客層よりは、理数系落ちこぼれ組の客層を、ターゲットにしているのは明白。
とにかく、これを読んでも、数学の深層には、到底手は届かないのですが、それでも読んでいる間は、なんだか分かったような気になれるので、思わず買ってしまいます。
しかし、歴史に名を残している長命な数学者たちには、数学という魔物に、飲みこまれてしまった人のなんと多いことよ。
コンピュータの概念を築いたアラン・チューリングは、青酸カリによる自殺。
ガロアは、20歳そこそこで決闘で射殺。
曲面の幾何学を考案したリーマンは、病的に内気で鬱病。
不完全性理論のゲーデルは、精神病院で座ったまま餓死。
いったい数学の何が、彼らをそうさせるのか。
「数学の真理はいつでもシンプル。そして美しい。」
確かこんなことを言っていたのは、中学の時の数学の教師。
その先生はこうも言っていました。
「数学者は、たいていロマンチストだよ。」
その真意は、数学オンチの僕には、到底わかりかねます。
ただ、僕にもわかることは、数学の真理は、たとえそうであったとしても、それを扱う人間の方は、純粋でも綺麗でもなんでもないということ。
誰もが、ロマンチストというわけにはいかない。
欲の皮の突っ張った俗物が、ピュアな数学の深淵に近づこうとすればするほど、精神に大きな負担がかかり、変調をきたすということも理解できなくはありません。
まあ、それほど奥深いところまで、数学と付き合うつもりもないものにとっては、この一冊680円の本で十分。
「統計の76%はウソ。大部分は、その数字を使うものの恣意的な意思が反映されている。」
今回はこれが分かっただけでも、よしといたします。
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