昨晩、缶ビール飲みながら、フランス映画を見ました。
あれ、お酒飲まない人じゃなかったっけというツッコミが入る前に、ご説明だけ。
お酒を飲むと、ほぼ30分以内に寝れるという特技があるため、自宅で就寝前に限って、350mgの缶ピールを一本いただくことにしています。
安眠のためですね。
みたのは、Amazone のプライム・ビデオにあった一本。
1953年のフランス映画「嘆きのテレーズ」です。
いい気分でクラシック映画に浸っていたら、見事に夢を見ました。
夢の中で共演していたのは、もちろんこの映画の主演シモール・シニョレ。
ちょっと小股の切れ上がった、いかにもフランス女優らしい腰の座ったイイ女。
相手役のラフ・バローネが、トラック運転手という設定でしたので、元トラック運転手としては、感情移入してしまいました。
夢の中で、どこまで彼女と共演できたかは、朝起きたら忘れてしまいましたが、起き抜けのカモミールを飲みながら、しばしボーッと余韻に浸っておりました。
この映画撮影当時、シモール・シニョレは、32才。
こちらは、年齢では、もうとっくにダブルスコアになる60歳も超えているのに、彼女のイメージは、魅力的な「年上の女」。
映画とは不思議なもので、こちらの年齢がいくつになっても、そのイメージが変わりません。
そういえば、彼女は1959年に、文字通り「年上の女」という映画で、アメリカのアカデミー賞で、主演女優賞を獲得しています。
フランスでは、どんなに美人でも、小娘のうちは、女扱いされないと言います。
結婚して、子供を産んで、初めて一人前の女として扱われるという熟女文化。
シモール・シニョレも、そんな酸いも甘いも噛み分けた大人の香りプンプンのザ・イイ女。
ちなみに、我が部屋には、暮らしの彩りとして、往年の映画のポスターが、あちらこちらに貼ってあります。
インターネットも、テレビも無かった頃の映画のポスターには、力があって好きです。
なにせ、このポスター一枚で、街ゆく人々をその気にさせ、想像力を掻き立て、映画館まで連れてこようというのですから、作る方にも力が入っていたでしょう。
昨夜この映画を見ようと思ったのも、この「嘆きのテレーズ」のポスターに、目がいったから。
ポスターには、キャッチコピーがこう躍っていました。
「ロースの川に浮かぶ枯葉よ、かくてテレーズの運命は、押し流される・・」
監督は、マルセル・カルネ。
あの映画史上に残る名作「天井桟敷の人々」を撮った名監督です。
(偉そうに言っていますが、まだ未見)
この映画は、コテコテの不倫メロドラマと思いきや、映画は意外にもサスペンスフルに展開していきます。
二人の不倫が成就するかと思いきや、ラストのどんでん返し。
そして、その余韻。
この辺りは、ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」に通じるテイスト。
男が、女の亭主を殺してしまう展開で思い出すのは、ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」。
ヌーベルパーグ以前の、古き佳きフランス映画の香りがプンプンとする映画です。
学生時代から、映画マニアで通っていましたから、もちろんフランス映画も、それなりに観てはいます。
しかし、白状してしまうと、それほど好物ではありませんでしたね。
やはり、若い頃の感性では、少々観念的で、演出がストレートではないという印象でした。
ただ、語るためのネタとして、見ていた感が強かったのが、正直なところ。
基本は、ミーハーですので、単純明快なハリウッド映画がやはり好きでした。
しかし、不思議なもので、この年齢になって見てみると、昔々のフラン映画のテイストが、不思議としっくりきたので驚きました。
やはり、見ている方も、それなりに「枯れて」きたという事でしょうか。
まだまだ見ていないフランス映画のクラシックは、たくさんあります。
もちろん、プライム・ビデオのラインナップにもありますし、自分が録り貯めたDVDの中にも、数多くあります。
長い老後です。
ゆっくりと鑑賞していくことにいたしましょう。
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