定年退職後は、そうそう無駄遣いもできないようになりましたので、本も余程読みたいものでない限り、購入するのも控えめにはしています。
これは、勤めていた会社の社長からいただいたもの。
自炊で電子書籍化して、しばらくiPadの中で、眠っていたものです。
読みやすい内容で、健康料理のレシピなどもたくさん載っており、一気に読み切ってしまいました。
さて、定年退職後、ここ最近の野菜中心の食生活は、本書ではどうジャッジされるか。
著者の安保氏は、新潟大学大学院の教授です。
本書の骨子は、人間のエネルギー生成系のシフトチェンジ解説。
具体的に言えば、解糖系から、ミトコンドリア系への変化です。
人の一生は、瞬発力の解糖系から、持続力のミトコンドリア系へ変化していく過程そのものであると言うこと。
これが上手にできる人は、健康で長生きし、できない人は、がんや脳梗塞や心筋梗塞になって若死にしますよと言うことです。
これが上手にシフトできないでいると、体は様々なメッセージを発信します。
それが気分であり、痛みであり、病気そのものということになります。
教授曰く、
「人間の体は間違いを起こしてはいません。間違っているのは、 われわれの生き方です。」
つまり、病気を直す基本は、医療ではなく、生活そのものとおっしゃるわけですね。
血糖値を下げるのにインシュリンを投与したり、血圧を下げるのに降圧剤を服用するのは、あくまでも一時しのぎであるべき。
これを常用することは、体からのメッセージを無視し続けると言うこと。
血圧が上がることも、血糖値が上がることも、そもそもは、体の方に、そうせざるを得ないそれなりの理由があるわけで、その根本を解決しないで、ただ値だけ下げるという行為には、大きなリスクが伴うと言うことです。
教授曰く、
「がんになる人は、がんばりを維持するために肉食に偏り、野菜を欲しなくなります。野菜は消化吸収に手間取り、消化管の負担がかかりますので、が んばり続ける人は体が受け付けなくなるのです。」
これは、肉を食べてもっと頑張れということではなく、むしろ頑張りすぎるなと言うこと。
ズボラな、私としましては、勝手にそう受け止めさせてもらいました。
教授曰く、
「『まあいいか』とか『しょうがない』『仕方ない』と言える人は、不利な状況を敗北と考えずに、「ここは身を引いておこう」と判断できます。精神的 なストレスを抱えることなく、自分の身を守ることができます。「負けるが勝ち」は、とても大切なことなのです。」
長い人生、そうも言っていられない時期は、誰にでもあるでしょうが、それを無理して続けていると長生きはできませんよと言うこと。
「熱血漢は、若死にすると心得よ。」
僕のような、いい加減なものには、嬉しいエールです。
またこんなことも。
教授云く、
「あたまだけを使っていると頭が熱くなるのですが、散歩をすると下半身 にも血液が循環するので、冷静さを取り戻してよいアイデアが浮かびます。物事を吸収しやすくもなります。」
おっしゃる通り。
畑で無心に草むしりをしていると、ちょいちょいブログのネタは浮かびますね。
教授曰く、
「お年寄りが病気になってこの世を去るのは、老人に特有の能力の限界を超すか、老人でも維持できる能力を維持しなかったか」のどちらかです。」
トラック運転手現役時代、このまま老齢化していく中で、トラックのハンドルを握ることのリスクを強く感じたことが、百姓転身計画の第一歩でした。
畑仕事なら、一生持続可能ですからね。
隣の畑で野菜を作っているお爺ちゃんは、御年86歳。
畑には、一本の雑草も生えていません。
教授曰く、
「精製砂糖は、人類が数万年の歴史で経験したことのない破綻の世界を作りあげました。
甘いものはできる限り天然に近い、黒砂糖、いも、果物などからとることをおすすめします。」
はい。
おやつを大量に取ると、意外に体重増加に繋がることは実証済み。
今は、採れたてのジャガイモで作った自家製ポテトチップスを一日一袋が、間食の上限と決めています。
畑で一服タイムに飲むドリンクは、これも自家製の野菜スムージー。
教授曰く、
「人は恨みを持ったまま長生きをすることは不可能なのです。」
免疫学の本なのですが、こんなところにも言及を。
被害妄想的な感情は、激しい交感神経緊張状態を生みだすということ。
要するに、ストレスです。
そういう方達は、ほぼ例外なくその表情から、笑顔が消えます。
つまりは、長生きの秘訣は「許す」ということなのかもしれません。
というわけで、定年をきっかけに始めた農業と、ベジタリアン・ライフ。
ストレスが全くないといえば嘘になりますが、それでも、世の中全体が、Covid-19 騒ぎでストレスの塊のようになっている昨今においては、比較的マイペースで、野良仕事を続けております。
おかげさまで、血糖値も血圧も体重も、現役時代のマックス値を大幅に改善。
現役時代の定期健康診断では、すぐに医者に行けというご指導でしたが、それは一切無視して、薬も服用せず、生活習慣のみでここまでやってきました。
本書を読むことで、ここまでの自分流実践の理論的答え合わせをする形となりましたが、概ね合格ということで、安心しております。
ただ、気になることが一点だけ。
エネルギー生成過程の変化で、人は誰でも少食になってくるというのですが、これだけが、全く当てはまりません。
教授によれば、人によっては水だけ、もしくは青汁だけで生きられるようになれるとのこと。
いやいや、申し訳ないが、これだけはご勘弁願いたい。
そんなことをしたら、遠ざけたはずのストレスが・・
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