この手の本は、見つければ手当たり次第買っていた時期がありますので、自炊書籍在庫の中には、何冊も出てきます。
極め付けは、去年亡くなった和田誠さんの名著「お楽しみはこれからだ」でしょうが、これはパート7まで、全冊読みました。
英語の成績は、決して良くはなかったのですが、不思議と映画の名セリフなら、スラスラと頭に入りましたね。(若い頃の話)
特に、恋愛系は入念に覚えました。
もちろん、当時は女子を口説く時に活用したいというスケベ心があったわけですが、実践ではまるで役に立たなかったものの、覚えていれば覚えていたで、その後も何かと話のネタにはなってきました。
去年、ブータン に旅行した際も、ガイドさんと、ドライバーさんとの英語によるコミュニケーションに、これは大いに役立ちました。
あれから、一年。
旅の途中で話に上った、映画の名セリフを、二人に対するお礼の意味も込めて、LINEのスタンプにしてプレゼントしようと思い立ち、畑を二日ほどお休みして、セッセと作成しておりました。
著作権や肖像権などがうるさそうですが、既にパブリック・ドメインになっているクラシックの映画で、しかもスチールではなく、イラストにするなら大丈夫かなと踏んで早速申請してみましたが、これが全て見事にリジェクト。
LINEスタンプには、なかなか、厳しいガイドラインがあるようです。
自分や知り合いのイラストなら問題なかったのですが、映画のシーンはLINEスタンプは一切使えませんでした。
うーん残念。
プレゼントは、また何か別の方法を考えましょう。
しかし、せっかく作りましたので、このブログで、ボチボチと紹介させてもらうことにいたします。
たくさん、描きましたが、まずは名セリフの宝庫「カサブランカ」から。
この映画は、若い頃から、何度観たかしれません。
映画のセリフを、全て暗記しようとさえ思ったほど。
とにかく気の利いたセリフが次から次へと飛び出してくるので、最後まで目が離せません。
1942年製作のアメリカ映画です。
とにかく、イングリッド・バーグマンの、なんと美しいことよ。
ため息出まくりですね。
ハンフリー・ボガードは、苦み走ってはいますが、決して美男子にカテゴライズされる俳優ではありません。
しかし、そのボギーと、バーグマンのカップルの、なんとスクリーン映えすることよ。
二人のシーンは、どこを切り取っても、そのまま映画のポスターになる程です。
AFIによる「アメリカ映画名セリフ・ベストで100」の中には、なんとこの映画から6シーンもランクインがあるほど。
如何に、この映画が、アメリカ人に愛されているかという証ですね。
初めてみたウッディ・アレンの映画は「ボギー!俺も男だ」でしたが、(実は、007のパロディ映画「カジノ・ロワイヤル」に出演している彼を、この前に見ていたのですが記憶なし)この映画などは、全編「カサブランカ」にオマージュを捧げた映画です。
「カサブランカ」を観ていないのなら、この映画は観に来なくてもいいと言われているくらいの映画でした。
僕が初めて、「カサブランカ」を観たのは、多分この映画を観た後です。
とにかく、この映画は、これでもかというくらいのキザなセリフのオンパレード。
昔、沢田研二も「カサブランカ・ダンディ」で歌っていました。
♪
ボギー、ボギー、あんたの時代はよかった
男がピカピカのギザでいられた
そうですね。
これ、多分ハンフリー・ボガードだからこそ、許された脚本だったような気がします。
このリックの役を、もしもゲイリー・グランドや、ゲイリー・クーパーのようなスマートな色男が演っていたら、ちょっと鼻につきすぎて聞けなかったような気がします。
そのキザの極め付けのような台詞が、映画の最初の方に出てきます。
こちらです。
これは、いつか使ってやろうと映画のセリフを丸暗記したものですが、ちょっと訳してみましょうか。
「昨夜はどこにいたの?」
「そんな昔のことは忘れた。」
「今夜は会えるの?」
「そんな先のことは、わからない。」
酒場で、ガールフレンドのイヴォンヌに、リックがつれなくするシーンです。
もう、バカヤローという感じ。
このイヴォンヌを演じたマドレーヌ・ルボーだって、イングリッド・バーグマンのあまりの美しさに霞んでしまう不幸はありましたが、立派な美人女優です。
その彼女に向かって、なんと無礼なことを言うか!
・・とは思います。
だけど、俺も言いてえ〜。
このシーンを見て、そう思った男達がどれほどいたことか。
しかし、たとえそういうシーンに巡り合える幸運に恵まれても、この会話があまりに有名なお陰で、ボギー以外の男がそれを言えば、もはやギャグになってしまう悲しさよ。
パリで突然姿を消したイルザが、リックの店に、ポール・ヘンリード演じる夫のラズロとともに現れます
パリでも一緒だったピアノ弾きのサムを見つけるイルザ。
悪い予感に動揺するサムに向かって、イルザがこう言います。
「時の過ぎゆくまま」(そんなジュリーの歌もありましたね)は、リックとイルザの、パリでの思い出の曲。
サムは、この曲は二度と弾くなとリックに言われています。
覚えていないと、とぼけるサムの前で、そのメロディを口ずさむイルザ。
観念したようにサムが歌い出すと、それを聞いたリックが駆け寄ります。
「その曲は、二度とやるなと言ったはず・・」
ジャーン。
そして、二人の運命の再会。
その夜、リックは客の帰った店で、一人グラスを傾けています。
酔いはすでに回っています。
そして、このセリフ。
「世界には星の数ほど店はあるのに、彼女は俺の店に」
すると、背後のドアが開きます。
そこには、イルザが一人で立っています。
彼女の瞳が潤んでいます。
パリの思い出が、蘇る二人。
そして、パリでの二人の回想シーンに、この映画の看板ともなったあの有名なセリフが出てきます。
この英文は、ご存知のように「君の瞳に乾杯」と訳されました。
直訳すれば、「君を見ていることに乾杯」みたいなことですから、これは翻訳者のセンスが光ります。
もちろん、原文のまま覚えましたが、これも後の人生で一度も実践で使う機会はありませんでしたね。
悲しい限りです。
しかし、ブータンで、このセリフを披露したところ、二人の目が点になっていましたね。
ブータンでは、国の方針で、英語の文化が国に入るようになったのは、わずか20年前のことです。
それなのに、なんとすでに英語は僕などよりも、はるかに流暢に喋る二人。
ブータンでは、ガイドもドライバーも、ほぼ全員、母国語のゾンガ語と、お隣の国インドのヒンズー語、そして英語までなら当たり前にしゃべり分けられるトライリンガルです。
中学から英語を勉強しているのに、僕などの語学力は彼らの足元にも及びません。
しかし、それ以前の遥か昔の映画の知識であれば、多少なりとも、こちらに部があったようです。
有名すぎる映画の、有名すぎる名台詞ですが、ブータン 人の二人の英語体験の中には、オールド・クラシックの「カサブランカ」に触れる機会はなかった模様。
なので、二人とも、なんとも新鮮に感動してくれました。
(ちなみに、生で「イエスタディ」を歌ったら、そちらも拍手喝采。あの映画みたいでした。)
ドライバーさんなどは、僕が初めてあのセリフを覚えた頃のように、ここでしっかりインプットして、ガールフレンドの誰かに使ってやろうというスケベ心がありあり。
遠い昔の自分を思い出しました。
懐かしい思い出です。
結局、リックは手持ちのチケットを渡して、二人をカサブランカから脱出する飛行機に乗せめために、奮闘します。
別れ際のリックのセリフ。
「俺たちには、パリの思い出があるさ。」
これも、この映画には、何度となく登場した名セリフ。
僕も、昔別れた彼女と、バリ島に1週間旅行した思い出があったので、「Paris」を「Bali」ら変えて使うチャンスはないかと虎視眈々その機会を伺いましたが、残念ながらこれも使える展開にはなりませんでした。
なかなか、実際の人生は、映画のようにはいかないものです。
そして、ラストシーンで、リックのまたまた胸に残る名セリフ。
二人を海外に逃した後、最後の最後で、リックに協力する警察署のルノー署長(演ずるのは、クロード・レインズ)と、二人肩を並べて、霧立ち込める空港を歩き去るシーン。
リックの、このセリフで、映画はエンドマークです。
「ルイ。美しい友情の始まりだな。」
というわけで、これだけ有名な映画ですので、名セリフの数々は、すべて英語の原文をネットから拾えましたが、僕の記憶にあったもので、一つだけ英文が見つけられないものがありました。
これも、リックとイルザのパリの回想シーン。
ドイツ軍が迫り来るパリで、二人は恋に落ちます。
遠くで聞こえるドイツ軍の豪砲音。
思わずリックに抱きつくイルザ。
リックへの愛に胸を高鳴らせるイルザがこう言います。
というわけで、残りの人生、まだ何回見るかわからない、名台詞の宝庫である名作中の名作「カサブランカ」に、今夜は乾杯!
コメント