大巨獣ガッパ
1967年は、怪獣特撮ファンにとってはなかなか面白い年で、当時の日本の映画制作会社が、こぞって怪獣映画を作った年なんですね。
東宝はゴジラ、大映はガメラ。
これは当時の怪獣少年たちにとっては定番だったんですが、普段は怪獣映画を作らない日活や松竹までが怪獣映画を作ってきた年でした。
「ウルトラマン」がテレビ放映されたのが、ちょうどこの前年でしたので、世は空前の怪獣ブーム。
映画産業が斜陽になっていく中、たとえ小学生であろうと、映画館にお客が来てくれるならと、まだロマンポルノになる前の日活が頑張って作ったのがこの「大巨獣ガッパ」。
日活は、すでに石原裕次郎でも、小林旭でも、映画館にお客を呼べなくなっていました。
あの頃、東宝の特撮映画は、大宮西口銀座通りの白鳥座。
ガメラ映画は、すずらん通りにあった大映の封切館。
この二つはよく通っていたので覚えていますが、はて日活の封切館がどこだったかちょっと思い出せません。
でも、確かに映画館に見にいってますね。
子供の頃に見た怪獣映画は、大人になってからも、ビデオを借りて、かなり見直しているのですが、ゴジラやガメラはソフト化されて、レンタルできても、この日活の怪獣映画のソフトをおいてくれる店にはなかなか巡り会えず、見直す機会は今までありませんでした。(あるいは、発売されていなかったのかも)
それを、今回Amazon プライムで見つけました。
これは、嬉しくなってしまいましたね。
ストーリーは、卵から生まれたばかりの子供を人間に拉致されたガッパ夫婦が、南の島から取り返しに来る話。
東宝の「モスラ」や、大映の「ガメラ対バルゴン」をお手本にしたのだと思いますが、Wiki を見るとハリウッド映画の「怪獣ゴルゴ」がベースになっていると書いてありました。
残念ながらこれは未見。
美樹克彦が歌っていた主題歌が、もろに日活アクション映画風なのでちょっと苦笑い。
当然ながら、見直すこちらの方は、怪獣映画リテラシーが、もはや小学生の頃よりは格段に進歩しているので、ツッコミどころは満載です。
ブログのネタにしようかと、途中までは数えていましたが、この映画を見るのに、84分を使うならその見方は、やはり野暮というもの。
むしろ、怪獣映画として、ゴジラ、ガメラ映画にはないタッチを探しました。
一つ決定的だったのは、親ガッパが子供と再会したときに、ヒシと抱き締めるのですが、なんと親ガッパの目から大粒の涙。(大粒にしないと見えないからかもしれませんが)
完全に御涙頂戴演出です。
このシーンのために、ちゃんと歌も用意されていました。
こんなにウェットな怪獣描写はちょっと見たことがありませんでしたね。
さてヒロインは、この時25歳の山本陽子です。
怪獣映画のヒロイン達は、どうしても男勝りで、しっかりと物言うタイプが多いのですが、彼女はラストでこういいます。
「私は家で炊事洗濯をしたり、子供のおしめを変えているのが好きなの。」
新聞記者の川内民夫はこれでニヤリとして、彼女を追いかけていくのですが、これは東宝の星由里子や白川奈美なら、絶対に言わないセリフ。
もしも、この映画のヒロインを浅岡ルリ子がやっていたとしたら、そのセリフを言ったがどうか。
男臭い映画を作ってきた、日活だからでしょうか。
もっとも、吉永小百合だったら。案外言ったかもしれません。
日活は後にも先にも、怪獣映画を作ったのはこれ一回きりですが、やはり慣れない怪獣映画では、お客を呼べなかったのでしょう。
この後、テレビに進出してスターになった藤竜也や、日活ロマンポルノで、やたら女優達をぺろぺろ舐めていた島村謙次は確認できました。
日活はこのガッパを、シリーズものにしなくて正解と言っておきます。
でもずっと見直したかったので、これでやっと気が済みました。
多分、同じような感想になるんだと思いますが、是非あともう一本。
松竹が作った「宇宙大怪獣ギララ」も、会員特典で見させてくださいませ。
よろしく。Amazon プライム様!
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