1ヵ月間、お世話になりましたディズニーplusですが、いよいよこれが見納めの1本となりました。
マーベルの「アベンジャーズ インフィニティーウォーズ」は、すでに見ていましたので、これの続編となる最新作「アベンジャーズEnd Game」を最後の1本にいたしました。
アベンジャーズ・シリーズを、全て見ているわけではありませんので、前提となるエピソードは、ほぼ前知識なしの鑑賞となります。
所々セリフが理解できずに、本作以前の伏線を回収しているのだろうなと思いつつもスルーしていました。
アベンジャーズの前知識は、前作一本のみで本作を見ているので、ヒーローたち個々の、ある程度の基礎知識があれば、感動をもっと共有できた気もしますが、まあいいでしょう。
それでも、ビジュアルの凄さは前作同様圧倒的で、細かいことは、さほど気にせずに楽しめました。
このシリーズは、マーベルのファンたちにとっては、まさにオールスター映画です。
登場するのは、それぞれが単独でも映画が一本作れるようなスーパー・ヒーローたちです。
そんな彼らに、それぞれの見せ場を作りつつも、映画としての起承転結を作らなければいけないので、この手の映画は、まず脚本が大変だろうと思ってしまいます。
しかし、そんなコアなマーベル・ファンばかりでなく、世界中の映画ファンを映画館に足を運ばせた本作は、公開当時の興行収入で、世界記録を塗り替えていますから、映画として大成功を収めているわけです。当然、脚本の練り方も成功していると言っていいでしょう。
映画は、サノスが、全宇宙の生命を半減させ、アベンジャーズたちがそれを阻止できずに敗北するという前作の衝撃のラストを受けて始まります。
しかし、それでも諦めないアベンジャーズ・チームは、タイム・トラベルで過去に遡り、サノスが手にした6つの石を取り返して、過去を変えるという戦いに挑んでいきます。
そして、ラストの、サノス軍団との大白兵戦。
何がワクワクさせてくれたかといえば、この最後の決戦の場面に、それまで登場していなかったヒーローたちが、続々と集結してくるシーンです。
わかってはいても、これはシビレました。
ありていにいえば、「助っ人、只今参上。」というシーンなのではありますが、こういうオールスター映画における最も王道的な盛り上げ方は、やはりこれですね。
ヒーローたちが全員集合して、カメラはリーダーの「キャプテン・アメリカ」にズームイン。
音楽がピタリと止まり、彼が一言。
“Assemble !” (全員そろったな!)
そこから、雪崩を打ったように両陣営の入り乱れてのクライマックスが始まるわけです。
これをやられては、こちらはもう引き摺り込まれるまま。「いよ! 待ってました。大統領」と思わず唸ってしまうわけです。
とにかく、こうやって、映画のラストで、感動的な「大集合」があるともうそれだけで参ってしまいます。
これぞオールスター映画の醍醐味で、昔から、オールスター映画に傑作はないと言われていますが、個人的には結構好きな映画が多いわけです。
日本の映画黄金期には、正月作品などで、各映画社がよく鳴り物入りの「オールスター映画」を作っていました。
定番は、片岡千恵蔵や市川右太衛門を筆頭にした「忠臣蔵」や「清水次郎長」などの、東映オースター時代劇でしたが、萬屋錦之介や大川橋蔵といった、それぞれに主演も張れる当時の若手トップスターを準主役に据えて、それぞれに見せ場も織り交ぜた脚本作りは、やはり秀逸で、我が国全盛期の映画産業を支えていたように思います。これは、本作の脚本展開にも十分通じるところがあるような気がします。
オールスター映画という訳ではありませんが、僕の好きな映画で、1946年にハリウッドで作られた「素晴らしき哉!人生」があります。
主演はジェームズ・スチュアートで、監督は人情喜劇の名手フランク・J・キャプラ。
失敗や不幸なことが続き、さらには莫大な金まで紛失してしまって途方に暮れ、自殺を考える主人公に、二級天使が舞い降りて、君が人生を救った人たちがどれだけいるかということを伝えます。
彼が自殺を思いとどまり、家族の元へ戻ったクリスマスの夜、彼が今まで救ってきた人たちが、妻の呼びかけで、次から次へと家に現れ、「あなたに助けられたお礼」の寄付をしていくという、今ではクリスマスの定番ともなったハートウォーミングな映画です。
これも、映画の各エピソードの登場人物たちが、主人公の家に大集合するというラストに、思い切り涙腺をやられていますね。
映画としては、あまりに定番でコテコテな感動メイキング演出かもしれませんが、やはり人の感情の琴線に触れるドラマツルギーの基本の一つとして、本作のような大作オールスター映画にも、きちんと反映されることになるわけです
それから、個人的に思う、本作を盛り上げていた要素のもう一つが、ビッグネームのサプライズ出演ですね。これも楽しませてもらいました。
僕のようなクラシックな映画ファンには、アベンジャーズ・チームを演じていた、今が旬の俳優たちには、残念ながら、あまり馴染みはないのですが、ワンシーンのみの出演者の中に、知っている顔がたくさんあって、ニンマリしてしまいました。
すぐにわかったのが、あのロバート・レッドフォードとマイケル・ダグラス。
2人とも、知る人ぞ知る大物俳優です。
「スター・ウォーズ」のアミダラ姫で覚えていたナタリー・ポートマンも、ワンシーンだけの出演でしたね。
最後のエンド・クレジットで名前を発見し、ビックリして再チェックしたのが、ミッシェル・ファイファー、サミュエル・L・ジャクソン、ウィリアム・ハートの面々。
よくカメオ出演というのがありますが、本作の場合は、皆さん、ちゃんとセリフのある役でキャスティングされていて、スーパー・エキストラというよりは、ビッグなチョイ役という出番でした。
日本代表では、真田 広之がワンシーンだけ登場。得意の立ち回りを演じて、すぐに殺されてしまいました。(セリフは日本語でした)
どちら様も、ちゃんと主役を演じられるビッグ・ネームばかりなのですが、こういう贅沢なキャスティングの「お遊び」も、個人的には、かなり好きで、映画ファン心が無性にくすぐられます。
大好きな映画に、1956年製作の「八十日間世界一周」があるのですが、この映画の主役は、デビッド・ニーヴンなのですが、彼がめぐる世界の国々で、ビッグスターがチョイ役出演のオンパレード。
まあ、これがなんとも楽しいこと。
フランク・シナトラ、マレーネ・デートリッヒ、バスター・キートン、ロナルド・コールマン、ジョージ・ラフト、シャルル・ボワイエなどなど、どこかその俳優のキャリアを彷彿とさせる役柄で登場するので、ニヤニヤしっ放しでした。
007シリーズの番外編だった1967年の「カジノ・ロワイヤル」も、こちら方面ではかなり楽しい映画で、映画のラストで唐突にジャン=ポール・ベルモンドが乱入して来たり、オーソン・ウェルズ、デボラ・カー、ピーター・オトゥールなどのビッグネームが、「そんな役をやるの」的なチョイ役で出演をしていました。
覚えているのでは、1966年の作品「オスカー」では、アカデミー賞授賞式のラストで、オスカー・ウィナーとしてワンシーンだけフランク・シナトラが登場というのもありましたね。
カメオ出演となると、映画の「お遊び」としてはかなり定着してきていて、映画の原作者や、監督の友人や関係者といったような、説明されないとちょっとわからないものも多々ありますが、それでも、「おやっ、これはどこかで見た顔だぞ」というものを、映画の中で発見するのは、映画ファンにとっては、マニアックではありますが、結構クセになる映画の楽しみ方の一つではあります。
そんなわけで、この最新のマーベル大スペクタクル・SFアクション映画は、今の時代の映画作品作りには相当乗り遅れている感のある、クラシックな映画ファンの心をも、しっかりと鷲掴みにして、たっぷりと魅了してくれました。
こんな映画を作られては、何をつっこんでも野暮になりそうなのでやめておきます。
残念ながら、興行収入を塗り替える映画というのは、こんなふうに、圧倒的な力技で、観客を捻り倒すような映画になるもんなんだなあと思うとため息ひとつ。
一言だけ言わせて貰えば「いいなあ。お金があって。」ということになりますか。
マーベル作品を見終わった時に、いつも思うことは「ご馳走様。満腹です。次は、お茶漬けが食べたい。」
そんなわけで、ディズニープラス月間は、以上で終了といたします。
「ザ・ビートルズ : GET BACK」が、どうしても見たくなったら、またお邪魔いたします。
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