昭和13年年5月21日1時40分頃、一人の青年が行動を開始する。
詰襟の学生服に軍用のゲートルと地下足袋を身に着け、頭には鉢巻を締め小型懐中電灯を両側に1本ずつ結わえ付けた。
首からは自転車用のナショナルランプを提げ、腰には日本刀一振りと匕首を二振り、手には改造した9連発ブローニング猟銃を持った。
青年は、自宅で就寝中の祖母の首を斧で刎ね殺害。
その後、近隣の住人を約1時間半のうちに次々と改造猟銃と日本刀で殺害する。
一連の凶行は極めて計画的かつ冷静に行われた。
「頼むけん、こらえてつかあさい」と足元に跪いて命乞いをする老人に、青年は「お前んとこにはもともと恨みも持っとらんじゃったが、嫁をもろうたから殺さにゃいけんようになった」と言って猟銃を発砲。
老人は返り血に染まった都井の姿に脅え、逃げることも出来ずに茫然としていたところ「お前はわしの悪口を言わんじゃったから、堪えてやるけんの」と言われ見逃された。
その後も都井の凶行は続き、最終的に事件の被害者は死者30名。
死者のうち5名が16歳未満。計11軒の家が押し入られ、そのうち3軒が一家全員が殺害され4軒の家が生存者1名のみ。
その後、3.5km離れた仙の城山頂に登り、遺書を書いた後、猟銃で自殺。
犯行が行われたのは、岡山県苫田郡西加茂村(現在の津山市)。犯人の名前は、当時21歳の都井睦雄。
これが世に言う「津山30人殺し事件」です。
いきなりすごいところから入りましたが、今回の「コワーイ映像」は、この日本犯罪史上稀に見る大虐殺事件をモチーフにした映画「八ツ墓村」から。
何回も映画化、ドラマ化された作品ですが、僕がDVDで見たのは、1977年に製作された野村芳太郎監督作品。
公開当時も、劇場で見た、当時としては、鳴り物入りの一本です。
山崎努が、凄まじい形相で、この津山事件の犯人を髣髴とさせるいでたちで、サクラの花びらが散る下を走るハイスピード撮影のスローモーション映像。
ミステリー映画は、見終わってみると、その「謎解き」の部分は、ほとんど記憶に残っていないのですが、やはり、インパクトのある「映像」だけはちゃんと記憶に残っています。
この映画では、このシーンでした。
横溝正史の原作は、この事件と、戦国時代の落武者たちの呪いを、巧みに絡ませた、田舎の因習や血縁の因縁を軸にした日本的風土に密着したミステリー。
これが当時、破竹の勢いだった映画プロデューサー角川春樹の戦略として取り上げられ、映画は大ブレークしました。
この映画で、僕がもうひとつ思い出す怖いシーンは、八人の落ち武者の生首が、落雷の中で、一斉にすごい形相で笑い出すシーン。
今回、このシーンがいつ出てくるのか、注意して見ていたのですが、結局ジャストのそのシーンは、出てこなかったんですね。
「おかしいな」と思って、特典映像を見ていたら、そのシーンは、予告編に出てきました。
おそらく、当時の僕は、この予告編にやられて、映画館に足を運んだと思われます。
金田一耕介を演じたのは、石坂浩二でもなく、古谷一行でもなく、渥美清。「寅さん」の、彼ならではの、金田一を演じておりました。
そして、主人公・寺田辰也を演じたのは萩原健一。
小川真由美も、いいおんなっぷりでした。
いつもの通り、車の中のDVD上映でしたが、家の到着に合わせて、ちょうど映画も終了。
エンドロールに眼を凝らして、出演者のチェック(子役で吉岡秀隆がチラリと見えた)をしながら、ハンドルをきっていたら愛車のフロントを駐車場の壁にゴリッ。
「たたりじゃあ!」
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