夕立という言葉からイメージする映像は、ザッと降って、パッとあがって、空には綺麗な夕焼けと虹。
しかし、ここ最近の夕立はそんな生やさしいものじゃありません。
夕立というよりは、むしろ、集中豪雨ですな。
そもそも、夕立という言葉は、気象学的には驟雨、にわか雨、雷雨、集中豪雨といった現象にあたり、気象学上は、正式な表現ではありませんが、一般的にはよく知られているため、天気予報のオネエサマたちは、あたりまえのように使っていらっしゃいますね。
夕立を起こす犯人は、積乱雲です。
この雲が、急激に発達すると、にわか雨を降らせ、雷、突風、ひょうなどを伴います。
積乱雲は、局地的に発生するのが特徴ですから、このにわか雨も、局地的なものになります。
ドッと降っていた雨が、車でしばらく走っていると、ピタッとやみ、気がつけば、そのあたりは、地面もぬれていないということがままあります。
夕立は、梅雨明けごろから秋雨が始まるころまでで、夏の晴れが多い時期に多く発生します。
今年は、この夕立が特に多い。
その原因は以下の通り。
時計回りに流れ出す高気圧と反時計回りに流れ込む低気圧の境目で、2つの空気の流れが、一致してしまったんですね。
それがちょうど、東海地方あたりになってしまったわけです。
つまり、東海・関東地方に向けて南の海上から湿った空気が継続して流れ込む状況になってしまったというのが原因。
そして、このルートに沿って、積乱雲が次々と生まれ、激しい雨が長時間続いたということになります。
積乱雲は、上層部分では気温が氷点下であるため、ほとんど氷の結晶からできています。それより下の層では、水滴ですね。
非常に高低差がある雲です。
「入道雲」なんて、言い方もありますが、この表現のほうが、夏の気象現象としては、ピンときます。
活発な前線の影響で、東海地方全域にかなりの被害が出ています。
浸水による死者も出ているようです。
読売新聞よると、29日正午現在、大雨による死傷者は愛知の2人、住宅の全壊・半壊は東京、愛知、三重の計3棟、床上浸水は愛知、茨城など8都県の614棟、床下浸水は11都県の1263棟。
ここまで来ると、ちょっと「夕立」なんて、ノンキな言葉では片付けられませんね。
地球温暖化の影響も、指摘されていますが、現段階では、そのメカニズムは、まだ証明はされていません。
ちなみに、「夕立ち」ではなくて、朝方に降る「にわか雨」のことを、「朝立ち」という表現でいうこともあります。
しかしこれを、天気予報のオネエサマたちが使っているのは、さすがに聞いたことはありません。
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