原作者アレクサンドラ・ダヴィ・ニールは、西欧女性で初めてチベットのラサに足を踏み入れた冒険家。
彼女の幻想的小説から生まれたのが、この映画「花の谷」です。
19世紀初頭のヒマラヤ奥地。
山賊団の首領ジャランは、謎の美女ウシュナと出逢い、一団に加えます。
未開のルートを案内し、一団に財宝をもたらす彼女は、次第に山賊たちの信頼を勝ち得ていきます。
しかし、ウシュナの美しさに魅了されるジャランは、次第に仲間たちとの結束を疎かにする様に。
監督の、パン・ナリンはインドの人。
いかにも、欧米のインテリたちが好みそうな、異国テイスト満載のファンタジー・ラブ・ロマンスを演出しています。
しかも、物語の後半は、突然こうとつに、舞台が現代の東京にジャンプ。
見たこともない、日本人俳優たちの、おどろくほどぎこちない演技に、このインド人監督の演出意図を測りきれないうちに、映画は終了。
サブタイトルにもある、「時空を超えたエロス」に見せたかったのでしょうが、見せられた日本人としては消化不良。
よく言えば、「不思議な味わいの映画」、悪く言えば、「意味不明の映画」でしたね。
ただ、救いは、謎の美女を演じた、ミレーヌ・ジャンパノワ。
父親は中国人で母親はフランス人という彼女の、オリエンタルでエキゾティックな魅力ですね。
特に彼女の視線のパワー。
かつて、ハリウッド女優ローレン・バコールの強烈な目線の演技は、「ザ・ルック」ともいわれましたが、それに勝るとも劣らない、ミレーヌ・ジャンパノワのするどい眼光の演技は印象的でした。
あのオウム真理教の麻原彰晃を髣髴とさせる伝道師の、空中浮遊のシーンが出てきますが、これはご愛嬌。
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