「見てから読むか、読んでから見るか」
角川書店の若き総帥だった角川春樹によるメディア・ミックス・プロジェクトの第二弾。(第一弾は「犬神家の一族」でしたね)
「人間の証明」は、映画界に殴りこみを挑んだ、出版界の風雲児、角川春樹の「映画製作者」としての手腕を世に知らせしめた、鳴り物入りの大作でした。
この映画の宣伝と共に、書店には、森村誠一の文庫が、どの書店にも平積み。
我が実家は、本屋でしたので、この戦略にまんまとはまった、十代の頃の僕は、硬派で、読み応えのある森村作品を、片っ端から読破しておりました。(もちろん、店の商品)
「人間の証明」は、もともと映画化を前提にして、森村誠一が、角川春樹から依頼されて執筆した作品。
ですから、ある程度のヒットは、あらかじめ約束されていた作品といえましょう。
キャスティングは、豪華絢爛。
岡田茉莉子 、鶴田浩二 、岩城滉一 、そして「世界」の三船敏郎までも特別出演。
主演には、当時人気絶頂の、松田優作を配しました。
しかし、松田優作に関して言わせていただければ、やはりこの手の大作映画では、彼の「魅力」は、ちょっと活かしきれなかった印象。
あの野性味溢れる「怖い顔」が、この映画では、ちょいと空回りしていたようで、もったいなかったですね。
さて、この映画、もちろん公開当時に、映画館にちゃんと見に行ってきました。
そして今回、この映画を実に30年ぶりに再見しましたが、やはり、「気になる」ところは、当事とはだいぶ違ってきました。
人間50近くになると、どうも映画一本「素直」に見られなくなってくるようで心苦しいのですが、この際だからいってしまいましょう。
ネタばれご容赦。
ラストで、息子の死を知らされた岡田茉莉子が、デザイン大賞の金賞を受賞して、壇上でスピーチするシーン。
岡田は、ここで罪を告白してしまうのですが、これはちょっと脚本に無理がある感が否めません。
普通、それはないでしょう。
ちょいと、映画的なアプローチに、こだわりすぎてしまった感じがあります。
しかも、スピーチが終わると、観客に拍手までさせてしまっていますが、これはちとあり得ないでしょう。
司会のEH・エリックも、さぞ困惑したことと思います。
出演者も、主役級の俳優よりは、チョイ役や、ゲスト出演の顔ぶれが気になりました。
初々しい頃の竹下景子や坂口良子。
そして娘役としてもう一人、演歌歌手の西川峰子。
二人の刑事を、北川谷栄に案内するために、海岸を走るシーンがあるのですが、その走り方が、なんだかとってもマンガチックで気になってしまいました。(我ながら、つまらんところが気になっております)
原作者の森村誠一は、小説家になる前はホテルマンでしたが、彼はこの映画の冒頭、ホテルのフロントマン役でゲスト出演。
ヒッチコックばりに、自分の映画には、どこかで必ず顔を出す角川春樹は、戦後の闇市で、米兵に殴られている父親を助けようとする子供の後ろで、子供を止めようとする復員兵役で出演。
「小川宏ショー」の小川宏は、自らの役で。
そして、露木茂アナも、同じく自らの役で出演。
もちろん、この映画のスポンサーには、ちゃんと、フジテレビが顔を連ねています。
そういえば、映画会社ではない、角川書店という一般企業制作の映画ということで、この映画にはタイアップ企業が非常に多い。
制作費を上手に捻出する角川式の映画の作り方ですね。
今では、あたりまえになってしまった感のあるエンドロールでの延々と長いタイアップ企業紹介。
この辺のルーツは、どうやら、この頃の角川映画にあるようです。
さて、最後にひとつだけ。
今回気がついた、僕が最も気になってしまった出演者。
胸をナイフで刺された黒人青年が、絶命するエレベターを案内していたエレベーターガールです。
どこかで見たことがあるなと思って調べてみたら、この彼女の名は島崎奈々。
思い出しました。
彼女は当時のグラビアアイドル。
その豊満なバストは圧倒的で、アグネス・ラムのポスターと並んで、当事の僕の部屋の机の前で微笑んでいたピンナップ・マドンナでしたね。
ポスターはちゃんとライトアップもしておりましたよ。
「人間の照明」
角川書店の若き総帥だった角川春樹によるメディア・ミックス・プロジェクトの第二弾。(第一弾は「犬神家の一族」でしたね)
「人間の証明」は、映画界に殴りこみを挑んだ、出版界の風雲児、角川春樹の「映画製作者」としての手腕を世に知らせしめた、鳴り物入りの大作でした。
この映画の宣伝と共に、書店には、森村誠一の文庫が、どの書店にも平積み。
我が実家は、本屋でしたので、この戦略にまんまとはまった、十代の頃の僕は、硬派で、読み応えのある森村作品を、片っ端から読破しておりました。(もちろん、店の商品)
「人間の証明」は、もともと映画化を前提にして、森村誠一が、角川春樹から依頼されて執筆した作品。
ですから、ある程度のヒットは、あらかじめ約束されていた作品といえましょう。
キャスティングは、豪華絢爛。
岡田茉莉子 、鶴田浩二 、岩城滉一 、そして「世界」の三船敏郎までも特別出演。
主演には、当時人気絶頂の、松田優作を配しました。
しかし、松田優作に関して言わせていただければ、やはりこの手の大作映画では、彼の「魅力」は、ちょっと活かしきれなかった印象。
あの野性味溢れる「怖い顔」が、この映画では、ちょいと空回りしていたようで、もったいなかったですね。
さて、この映画、もちろん公開当時に、映画館にちゃんと見に行ってきました。
そして今回、この映画を実に30年ぶりに再見しましたが、やはり、「気になる」ところは、当事とはだいぶ違ってきました。
人間50近くになると、どうも映画一本「素直」に見られなくなってくるようで心苦しいのですが、この際だからいってしまいましょう。
ネタばれご容赦。
ラストで、息子の死を知らされた岡田茉莉子が、デザイン大賞の金賞を受賞して、壇上でスピーチするシーン。
岡田は、ここで罪を告白してしまうのですが、これはちょっと脚本に無理がある感が否めません。
普通、それはないでしょう。
ちょいと、映画的なアプローチに、こだわりすぎてしまった感じがあります。
しかも、スピーチが終わると、観客に拍手までさせてしまっていますが、これはちとあり得ないでしょう。
司会のEH・エリックも、さぞ困惑したことと思います。
出演者も、主役級の俳優よりは、チョイ役や、ゲスト出演の顔ぶれが気になりました。
初々しい頃の竹下景子や坂口良子。
そして娘役としてもう一人、演歌歌手の西川峰子。
二人の刑事を、北川谷栄に案内するために、海岸を走るシーンがあるのですが、その走り方が、なんだかとってもマンガチックで気になってしまいました。(我ながら、つまらんところが気になっております)
原作者の森村誠一は、小説家になる前はホテルマンでしたが、彼はこの映画の冒頭、ホテルのフロントマン役でゲスト出演。
ヒッチコックばりに、自分の映画には、どこかで必ず顔を出す角川春樹は、戦後の闇市で、米兵に殴られている父親を助けようとする子供の後ろで、子供を止めようとする復員兵役で出演。
「小川宏ショー」の小川宏は、自らの役で。
そして、露木茂アナも、同じく自らの役で出演。
もちろん、この映画のスポンサーには、ちゃんと、フジテレビが顔を連ねています。
そういえば、映画会社ではない、角川書店という一般企業制作の映画ということで、この映画にはタイアップ企業が非常に多い。
制作費を上手に捻出する角川式の映画の作り方ですね。
今では、あたりまえになってしまった感のあるエンドロールでの延々と長いタイアップ企業紹介。
この辺のルーツは、どうやら、この頃の角川映画にあるようです。
さて、最後にひとつだけ。
今回気がついた、僕が最も気になってしまった出演者。
胸をナイフで刺された黒人青年が、絶命するエレベターを案内していたエレベーターガールです。
どこかで見たことがあるなと思って調べてみたら、この彼女の名は島崎奈々。
思い出しました。
彼女は当時のグラビアアイドル。
その豊満なバストは圧倒的で、アグネス・ラムのポスターと並んで、当事の僕の部屋の机の前で微笑んでいたピンナップ・マドンナでしたね。
ポスターはちゃんとライトアップもしておりましたよ。
「人間の照明」
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