“天皇ヒロヒト――。彼は悲劇に傷ついた、ひとりの人間。”
1945年の夏。
敗戦濃厚の日本は東京。
周囲は空襲で焼け野原になりましたが、アメリカ軍の配慮で皇居だけはそのまま。
昭和天皇は、このとき、一家を疎開させ、退避壕での生活の中、この戦争の行方と、天皇家の将来について思いをめぐらせていたわけです。
御前会議。そして、敗戦後、マッカーサーGHQ総司令官との会談。
そして、ご存知のとおり、天皇陛下は、日本国の将来のために、「現人神」の座を自ら降り、「人間宣言」をすることになります。
「恐れ多くも賢くも」。
僕のような、雑文書きが、たったこれだけのことを書くだけでも、なぜか緊張してしまうほどのオーラをいまだに放っている天皇陛下。
日本人が、天皇陛下を批評の「まな板」にのせることは、いまだにタブーといっていいでしょう。
「太陽 The Sun 〜昭和天皇裕仁〜」
監督は、アレクサンドル・ソクーロフ。
ここまで、徹底的に天皇陛下を被写体にした映画はなかったでしょう。
これは日本人の監督では到底無理。ロシア人の監督だからこそ、作ることの出来た映画といえましょう。
映画は、一切のドラマ的要素を廃し、音楽もほとんどなし。
ただただ、ひたすら淡々と、「運命」の時期を過ごす天皇ヒロヒトの日常にクローズアップで迫り、その苦悩を浮き彫りに・・・・とまあ、おそらくは、そういう映画にしたかったところでしょうが、結果はさにあらず。
映画の主演に、イッセー尾形を起用し、しかも皇后役に、桃井かおりを配したことで、この映画がどんな「空気」の作品になってしまうのかが、やはりこのロシア人の監督には理解できていなかった。
いえいえ。
けして、イッセー尾形を否定しているというわけではありません。
この作品での、彼の芸達者ぶりはさすがの一言。
僕とて、彼の演じる天皇陛下のリアルさには脱帽です。
しかし、悲しいかな、彼のスタイルで表現される天皇陛下は、「演技」という範疇に入るものではなく、あくまでも「芸」といっていい。
あの、口のもぐもぐも、独特の手の仕草も、すべては、天皇陛下という対象を、イッセー尾形なりに徹底的にリサーチし、研究つくした上での「形態模写」という芸なんですね。
彼の十八番である、「一人芝居」の延長線上に、この役があったといっていいでしょう。
なんだかとても、不思議なあじわいの映画です。
今は亡き、昭和天皇に、この映画の感想を尋ねたら、なんとお答えになるでしょうか。
おそらくこんなかんじでしょうか。
「あっそう。」
1945年の夏。
敗戦濃厚の日本は東京。
周囲は空襲で焼け野原になりましたが、アメリカ軍の配慮で皇居だけはそのまま。
昭和天皇は、このとき、一家を疎開させ、退避壕での生活の中、この戦争の行方と、天皇家の将来について思いをめぐらせていたわけです。
御前会議。そして、敗戦後、マッカーサーGHQ総司令官との会談。
そして、ご存知のとおり、天皇陛下は、日本国の将来のために、「現人神」の座を自ら降り、「人間宣言」をすることになります。
「恐れ多くも賢くも」。
僕のような、雑文書きが、たったこれだけのことを書くだけでも、なぜか緊張してしまうほどのオーラをいまだに放っている天皇陛下。
日本人が、天皇陛下を批評の「まな板」にのせることは、いまだにタブーといっていいでしょう。
「太陽 The Sun 〜昭和天皇裕仁〜」
監督は、アレクサンドル・ソクーロフ。
ここまで、徹底的に天皇陛下を被写体にした映画はなかったでしょう。
これは日本人の監督では到底無理。ロシア人の監督だからこそ、作ることの出来た映画といえましょう。
映画は、一切のドラマ的要素を廃し、音楽もほとんどなし。
ただただ、ひたすら淡々と、「運命」の時期を過ごす天皇ヒロヒトの日常にクローズアップで迫り、その苦悩を浮き彫りに・・・・とまあ、おそらくは、そういう映画にしたかったところでしょうが、結果はさにあらず。
映画の主演に、イッセー尾形を起用し、しかも皇后役に、桃井かおりを配したことで、この映画がどんな「空気」の作品になってしまうのかが、やはりこのロシア人の監督には理解できていなかった。
いえいえ。
けして、イッセー尾形を否定しているというわけではありません。
この作品での、彼の芸達者ぶりはさすがの一言。
僕とて、彼の演じる天皇陛下のリアルさには脱帽です。
しかし、悲しいかな、彼のスタイルで表現される天皇陛下は、「演技」という範疇に入るものではなく、あくまでも「芸」といっていい。
あの、口のもぐもぐも、独特の手の仕草も、すべては、天皇陛下という対象を、イッセー尾形なりに徹底的にリサーチし、研究つくした上での「形態模写」という芸なんですね。
彼の十八番である、「一人芝居」の延長線上に、この役があったといっていいでしょう。
なんだかとても、不思議なあじわいの映画です。
今は亡き、昭和天皇に、この映画の感想を尋ねたら、なんとお答えになるでしょうか。
おそらくこんなかんじでしょうか。
「あっそう。」
コメント