ローマ帝国の時代の話ですが、当時のローマでは、年頃の若い男たちと、娘たちは生活が別々だったんですね。
当然、彼らはもんもんとします。フラストレーションもたまろうというもの。
そこで、年に一度くらいは、その「禁制の掟」から、開放してあげましょうかということになる。
それに、うまいこと利用されたのがルペルカリアという、豊年を祈願するお祭り。
毎年、このお祭りの前日になると、ローマ帝国の娘たちは、自分の名前を書いた札を、桶の中にいれたんですね。
そして、この娘たちの名前の書かれた札を、その翌日、男たちが、その桶の中からひきます。
要するに「くじ引き」みたいなものです。
そして、男たちは、自分がひいた札の娘と、ルペルカリアの祭りの間だけは、一緒にいることが許されたんですね。
まあ、彼らが、年に一度だけ許されたその祭りの間で、何をしているかなかんてヤボなことを推察するのはやめますが、多くのカップルは、そのまま、いい仲になり、結婚するというのが一般的だったようです。
その相手が、たとえ気に入らなくても、そこで「チェンジ!」などとやってしまうと、また一年はもんもんとしなければならなかったので、多くの若者たちは、多少のことは目をつぶったんでしょうね。
若者たちのこの「札引き」の儀式は、そういう意味では、まさに「運命のくじ引き」だったんですね。
さあ、そうして一緒になった若者たちが、幸せな家庭を築きます。
それはそれで、結構なことなのですが、ここで困った問題が起こります。
ローマ帝国の兵士となった若者たちの士気の低下が著しいといんですね。
その理由が、兵士たちが、故郷に残した愛する妻たちを思う気持ゆえだというわけです。
そして、ローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、なんとローマでの兵士の婚姻を禁止ししてしまいます。
まったくもって短絡的もはなはだしいですな。某国の某首相だって、こんなとんちんかんな「政策」はしないでしょう。
さて、そこに登場したのが、キリスト教司祭だったヴァレンティヌスです。
彼は、時の権力に反旗を翻し、そんなローマ帝国の兵士である若者たちを、秘密に結婚させてしまいます。
しかし、やがて彼は捕らえられ、処刑されてしまうんですね。
そしてこの処刑の日には、あえて、ルペルカリア祭の前日である2月14日が選ばれます。
つまり、彼は、この祭りに捧げられた生贄という扱いをされてしまうわけです。
以来この日はキリスト教の国々では祭日となり、彼の死を悼んだ若者たちによって、秘かに、「恋人たちの日」としての歴史を刻むこととなります。
これが、一般的なバレンタインデーのルーツ。
そして、このイベントに、チョコレートをカップリングさせたというのは、日本のチョコレートメーカーです。
これは、江戸時代に「土用の丑の日にはうなぎを」とやった平賀源内以来の、お見事な販売戦略でした。
ですから、バレンタインデーにチョコレートをプレゼントするという文化を持つのは、世界の中でも日本だけ。
遠いローマ時代の「運命の札」が、1800年のときを隔てて、日本では、チョコレートに化けたというわけです。
まあ、そんなことはどうでもいいのですが、問題なのは、今年の僕のバレンタイン事情です。
確かに、糖尿病で、甘いものは厳禁と公式には言っていますが、これはやはり気持ちの問題。
来週の日曜日は期待していますので、よろしくね。
コメント