脂っぽいものは、口にしないと決めた身ですので、ラーメン屋もしばらくいっていません。
50年間、こってり系のラーメンばかり食べ続けたツケが、健康診断の数値には歴然。
しょうがないですね。
僕の経験で言わせていただけば、おいしいラーメン屋の条件は、以下の3つ。
1. きたない店
2. 少ないメニュー
3. 寡黙でがんこなオヤジ
こんな看板をかかげている、ラーメン屋が東京都羽村市にあります。
営業時間6時31分から2時59分まで。
まず、街のラーメン屋で、こんな時間帯で営業している店はありますまい。
そしてこの「31分」や「59分」という、時間設定を堂々と看板に掲げているあたりに、この店のオヤジの佇まいを感じますね。
以前、この看板がどうしても気になって、試しにこの店の開店時間前に、車をつけて、時計とニラメッコをしたことがあります。
そうしたら、案の定予想通り、31分きっかりに、店の扉が開きましたね。
おそらくは、店の中でも、このオヤジさんが、毎朝時計とニラメッコをして、「仕込み」をしているのでしょう。
たぶん、閉店時間もそのとおりのはずです。
この店には、常連ならみんなが知っている暗黙のルールがあります。
ひとつは、「油ぬき」にしてもらいたい場合は、オヤジにVサイン。
もうひとつは、お勘定のときは、客がカウンターのザルに代金を放り込み、おつりのときは、そこから自分で勝手に取っていく。もちろん、オヤジはノーチェック。
「俺は好きでラーメン作ってるだけだから、後はそっちでやってくれ」という感じです
まあ、しかし僕も含めて、「常連客」としては、この店のそんな、「商売っ気」のなさが、妙に「心地よい」ということなんですが。
一度、一見の客が、勘定の時、ここのオヤジさんに聞いていましたね。
「客に勝手にやらせたら、ちょろまかすヤツいるんじゃないの?」
そしたら、このオヤジ、ネギを切る手を休めずに、こういいましたね。
「数えませんから。」
最後になりましたが、一番肝心なことを申し上げておきましょう。
豚の背油たっぷりの、この店のこってりラーメンは、天下一品です。
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