脂っぽいものは、口にしないと決めた身ですので、ケンタッキーに立ち寄ることはなくても、回転寿司ならちょくちょく行きます。
帰宅の道中には、「くら寿司」「かっぱ寿司」「すしおんど」とよりどりみどり。
ネタの鮮度なんて、僕の舌では良くわかりませんので、店のこだわりはありません。
本日も、とある店に寄り、夕食に味噌汁一杯と6皿。
食べ終わると、「お会計」のボタンを押します。
最近の回転寿司は、どの店も、これはほぼ一緒。
店内のランプがつくと、元気のいいおねえさんがカウンターに飛んできます。
「いっしょに、お皿の数の確認をお願いします。
100円の皿が6枚と、お味噌汁一杯ですね。
はい、それでは、こちらの伝票をレジまでお願いします。」
僕は、その伝票を彼女から受取ると、シーハーいいながらレジに向かうわけです。
するとですね。
なんと、僕にその伝票を渡したオネエサンが、僕の横をダッシュですり抜けてレジに走るんですね。
そして、レジのカウンターで僕と向かい合うと、あたりまえのように、今僕に手渡した伝票を、またそこで受取るわけです。
僕は、思わず苦笑い。
おいおい、自分がレジを打つなら、伝票をわざわざ客に渡す必要はないでしょうな。
しかし、彼女は、このオヤジの目が点になっているのにも気が付かない様子で、いたってマジメに、レジを打つんですね。
おそらく、彼女は、入店時に仕込まれたマニュアルのとおりに仕事をしているのだと思われます。
実際は、彼女の仕事は、食べ終わった客の皿をカウントして伝票を渡すまで。
その後は、レジ係りにバトンタッチというのが、通常の店のルールなのでしょう。
そして、客の少ないときは、お勘定のときに、一番レジの近くにいるフロア係りが、レジの対応をするとでもなっていたでしょうか。
つまり、彼女としては、別々に決まっていた2つのマニュアルを、たまたま続けてやることになってしまった。
たったそれだけのことだったかもしれません。
流れを体で覚えてしまった作業に、人間は頭を使いません。
どうも、これがよくないようです。
今日のことも、ちょっと頭を使って、普通に状況判断をすれば、正解は簡単。
皿を数えて、レジに係りがいないのを確認したら、その伝票を自ら持って、客をレジに案内して会計。
たとえマニュアルには、そう書かれていなかったしても、常識的にはそれが自然です。
「すべてマニュアルどおりに」の、落とし穴が、ここらあたりにあるようです。
考えて見れば、そのマニュアルだって、所詮人間がつくったもの。
実は、マニュアルどおりにやるということは、確かに覚えるまでは、それなりに大変なのかもしれませんが、一度覚えてしまえば、後は案外楽なことなんですね。
だってそりゃそうです。一度覚えてしまえば、後はなにも考えなくていいんですから。
この寿司屋のマニュアルの最後には、是非こう書いておいてもらいたいところです。
「時には、このマニュアルを疑え」
レジの前で、怪しいオヤジに苦笑いされているのも気が付かないようでは、ちょっと彼女が不幸です。