ちょっと、気になる単語を見つけてしまいました。
「国民総幸福量」
これを大真面目で、政策の指標としている国があるんですね。
それは、インドと中国にはさまれて、ヒマラヤ山脈の南側の斜面に張り付いたように存在する南アジアの小国ブータン王国です。
去年、普通選挙が行われ、立憲君主制に移行したばかりの、チベット仏教を国教とする国です。
この国民総幸福量を提案したのは、元国王のジグミ・シンゲ・ワンチュク。
彼は国の豊かさを測る上でこの指標は国民総生産(GNP)よりも、はるかに重要であると主張。
今やブータンの発展を測る指標ともなっています。
指標というからには、当然数値化がされなければなりません。
これは、僕としても大変興味のあるところ。
この「国民総幸福量(GNH)を数値化する作業は、さの専門委員会がすでに1000人近くの国民に調査を実施し、幸福度を計る項目をリストアップしているそうです。
中でも、仏教が重視する心の安らぎのほか、健康、教育、グッドガバナンス(良い統治)、生活水準、共同体の活力や生態系の多様性といった環境問題にも重きが置かれています。
GNHのコンセプトは以下のとおり。
「単なる経済成長ではなく、国民が望むものが成長に反映されているかどうかを示すもの」
要するに、GNHを数値化する主な目的は「政府の諸政策がこのコンセプトにどの程度合致しているかを評価するため」だとしているわけです。
さて、そうなると気になるのは、その調査の結果。
すでに行っている調査によれば、人口約67万人のブータン国民のうち、なんと実に、68%の国民が「幸福」であると感じているというですね。
そして、幸福を感じないという国民に対して、その理由を分析。
結果、今後10年間で貧困層縮小に向けた政策の実施が決定。
1日1ドル以下で生活する貧困層を現在の25%から15%に削減するというのが、国の方針だといいます。
この指標を、我が国に当てはめたら、いったいどういうことになるのでしょうか。
ちょっと考えただけでも、空恐ろしい結果になることは、想像に難くありません。
ブータンでは、選挙に参加した国民民主党は、今後もGNHを政策の指標にしていくことを明言しています。
「物質の豊かさ」よりも「心の豊かさ」が、政策の指針となる国がブータンです。
そんな、ブータンの政策の中では、国民総幸福量になる4つの主要な柱だけ紹介しておきましょう。
ひとつは、持続可能で公平な社会経済開発。
自然環境の保護。
有形、無形文化財の保護。
そして良い統治。
つまり、経済開発一辺倒になって、自然環境が破壊されたり、ブータンの伝統文化が失われてしまっては、物質だけがどんなに豊かになっても、「幸福」という視点からみれば、何の意味のないというのが、この政策の精神なんですね。
日本は、確かにブータンと比べれば、数字上は豊かな国かもしれません。
国民総生産量も、教養のレベルも上であることは間違いない。
でも、この「国民総幸福量」を指針とした場合は、はたして、どちらが「先進国」といえるでしょうか。
答えは、国民の「笑顔」にあるかもしれません。
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