さて、「おもわずニヤリ」です。
まあ、映画の中には、それこそいろいろな「ニヤリ」があると思いますが、「ニヤリ」いわれて、まず僕が思い浮かべるのは、ヒッチコックですね。
ご存知、サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコック。
サスペンスやスリラーの神様といわれながらも、彼の作品の中には、それと表裏一体の、さまざまな「遊び」が仕掛けられています。
これがまた楽しい。
まあ、一番有名なところでいえば、自分の作品の、必ずどこかワンシーンに、必ず自分を登場させるという「お遊び」。
まあ、ヒッチコックといえば、そのシルエットだけでも、誰もが誰だかわかってしまうというくらいの個性的な体型と風貌でしたから、この「遊び」のニヤリ効果は、てきめんです。
もともとは、初期の作品での、エキストラ不足を補うための出演だったものが、やがて、彼の作品のトレードマークになり、仮の作品のお楽しみの一つになっていった「お遊び」。
後期の作品では、物語の本筋を邪魔しないようにと、概ねオープニング直後に「出演」を済ますことが多くなっていきましたね。
僕も、その「お遊び」の存在を知ってからは、気にして見るようにはなりましたが、いわれなければわからないという登場シーンも多くあり、ヒッチコキアンを自認する身としては、死ぬまでには、すべての登場シーンを目視確認しなければいけないと思っております。
さて、そんな中で、比較的わかりやすい、ヒッチコックのニヤリ登場シーンをご紹介。
作品は、「泥棒成金」。
1955年の作品です。
主演はケーリー・グラントとグレース・ケリー。
かつて「ザ・キャット」と呼ばれた宝石泥棒のジョン。
しかしある日、ジョンの手口そっくりの宝石泥棒が多発し、身に覚えのないジョンに容疑が掛けられてしまいます。
そして彼は、警察に追われる身に・・・
というわけで、やむなく、真犯人を挙げるために、自力の調査に乗り出すというのが映画のストーリー。
さて、問題のシーンは、彼が警察に追われて、逃げ回り、ちょうど通りかかったバスに乗り込んで、警察をまくというシーン。
バスの最後尾から、警察の車をまいたのを確認して、やれやれという場面ですね。
ケーリー・グラントが、隣に座っているオバサンの鳥かごのトリがバタバタとやるのに、眉をひそめます。
そして、カメラがゆっくりと反対側にパンをすると、そこに、もっとしかめっ面をして、憮然と座っているヒッチコックがフレームインというシーン。
これで、ケーリー・グラントが、カメラ目線になってから、次のカットとなれば、完全にギャグになってしまうというスレスレのところ。
これぞ「おもわずニヤリ」の極意というところでしょうか。
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