さて、タイロン・パワー、マレーネ・デートリッヒというハリウッドきっての美男美女を主役の椅子に座らせてはいますが、こ映画の実質的な主役は、なんといっても病み上がりの老弁護士に扮した個性派俳優チャールズ・ロートン。
そして、その口うるさい付き添い看護婦役に配されたのは、実生活のロートン夫人でもあるエルザ・ランチェスター。
夫婦であるがゆえ、この二人のコンビネーションは絶妙でしたね。
ロートンがアカデミー賞主演男優賞、ランチェスターが助演女優賞にそれぞれノミネートされました。
結果は、仲良く二人ともアカデミー賞は逃しましたが、ランチェスターは、この映画の演技で、ゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞しております。
ラストのどんでん返しは、映画のストーリー的にもよく出来ていましたが、この二人のかけあいも、ラストのラストで粋なドンデン返しになっており、最後は、主役のチャールズ・ロートンの会心の「ニヤリ」でエンドマークとなります。
まさに映画のシメはこうでなければというお手本のようなラストでした。
さて、この看護婦役のロートン夫人であるエルザ・ランチェスターですが、映画を見ていて、ずっと考えておりました。
「うーん、この人絶対にどこかで見たことがある。」
まあ、オールドファンには名の知れた映画女優さんですから、それはそれで当然なのですが、なにか、この人からの強烈な印象が記憶の片隅に引っかかっておりました。
それは、映画を見終わった後、彼女の出演作品を、Google してみて判明。
この女優さんのキャリアを見てみますと、この映画をさかのぼること25年ほど前に、「フランケンシュタインの花嫁」に出演していました。
彼女が演じていたのは、もちろんそのものズバリの「フランケンシュタインの花嫁」
電気でバチバチやられながら、目をひん剥いて大口をあけて生命を吹き込まれていた、あの衝撃のモンスターの役です。
たぶん僕が見たのは、高校生の頃ですが、そのシーンのインパクトは強烈だったのでしょう。
まったく、あのモンスターからは、かけ離れた今回の看護婦役での彼女でしたが、どこかで記憶の糸がつながっていたようです。
さて、そうなりますと、実は弁護士役のチャールズ・ロートンも、1939年に、「ノートルダムのせむし男」のカシモド役で、モンスターを演じていますね。
「ノートルダムのせむし男」は、1923年にも、怪奇俳優ロン・チャーニーの演じたクラシックかありますが、モンスターの異様さでは、チャールズ・ロートンのバージョンに軍配が上がるかなと、モンスター映画ファンの僕としては、思っていました。
ノートルダムのせむし男カシモドと、フランケンシュタインの花嫁。
いずれにしても、この「情婦」の頃には、すでに名優といわれるようになっていたこのご夫婦の、「モンスターつながり」には、おもわず「ニヤリ」
コメント