はるか昔のオリジナル曲を引っ張りだしてきました。
10分近い曲ですね。
自分の経験と、友達の経験に、フィクションの味付けしたような内容。
この曲が出来上がったとき、こう決めたのを思い出しました。
「これはひとまず封印。人に聞いてもらうのは50歳を過ぎてから。」
そして、ときは流れ、この3月で、僕もめでたく53歳。
人に聴いてもらうほど、ギターは上手いわけではないし、ギターのコードも
なかなか思い出せないで四苦八苦しましたが、
今は、素人でも、自分のオリジナルを自由に発信できる便利な世の中に
なりましたので、公開することにいたしましょう。
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彼女
タバコの煙を吐き出せば
ユラユラと夢の中
コーヒーの沸く音によみがえるあの日々
ああ思い起こせば落ち葉散る9月
僕は初めて彼女と出会ったのです
可愛い娘を紹介してやるからと誘われて
のこのことついてった日比谷公園
待っていたのは目を見張る美女
これは!と胸ときめかした時
かたわらに目を見張らない彼女がいたのでした
ああ思い起こせば木葉色づく10月
僕は初めて彼女の手を握ったのです
それでも結局また会おうって電話して
いそいそと出かけた上野公園
なんでもあいつはもうキスしたとかで
気持ちだけははやるがつまりは
やっと手を握っただけの僕でした
ああ思い起こせば木枯し吹く12月
僕は初めて彼女とキスしたのです
その頃はデートももう何回か消化して
そろそろと思いながら代々木公園
話す言葉も途切れがちで
いきなり抱きついたらホッペタはなかれて
でも彼女はその後そっと目を閉じた
ああ思い起こせば雪降り積もる2月
僕は初めて彼女と・・したのです
なにげなくを装い内心はドキドキして
なんとか来てもらった僕の部屋
赤々と燃えるストーブを前に
見つめ合う目 そして・・
そして・・・でした
ああ思い起こせば桜咲く4月
僕は彼女と暮らし始めたのです
当然二人とも両親には内緒にしたまま
6畳1間のアパートを借りた
まるでよく聞くフォーク・ソングのよう
赤い手拭マフラーにして浴衣の君は
裸電球まぶしくてイロッぽいね
ああ思い起こせば雨降り止まぬ6月
彼女に来るべきものが来なかった
こういう場合の男はただうろたえるだけで
こそこそと出かけた産婦人科
青ざめた彼女を抱きかかえて
病院の玄関を出たらなんとそこに・・
こともあろうに彼女の父親が立ってた
ああ思い起こせば誰もかれもが7月
彼女は故郷へ帰ることになった
こういう場合の男はただひたすら悪く
とぼとぼと見送りに上野駅
「きっと帰って来るわ」とその声も
発車のベルに消されて・・
思えばそれが彼女との最後だった
ああ思い起こせば落ち葉散る9月
彼女から1通の手紙が届いた
「楽しかった東京での二人のことは
いつまでもいつまでも忘れません」と
そして・・そして最後の1行には
「・・結婚します。お元気で」
開いた口がしばらく塞がらなかった
ああ季節は巡り 時は過ぎて行く
あの日々の思い出をのせながら
ああ季節は巡り 時は過ぎてゆく
あの日々を飾りながら mm
ああそして今 愛する妻の横には
あの人と同じ名前の娘が眠ってる
音源はこちら。
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