1981年のフランス映画。
監督は、フランソワーズ・トリュフォー。
「隣の女」が、実は「昔の女」で、「焼けぼっくいに火がつく」展開。
重くて暗い恋愛映画です。
トリュフォー監督は、同じファニー・アルダンで、この後に、遺作となる「日曜日が待ち遠しい」を撮っていますが、これがモノクロ映画でした。
内容からすれば、僕としては、こちらの「隣の女」の方をモノクロにして、アルダンの軽妙な味が出ていた「日曜日が待ち遠しい」をカラーで撮影したほうが、映画のトーンには合っていたように思います。
和田誠の「お楽しみはこれからだ」で、この映画に触れていて、「男は、恋愛については素人」というセリフがあったと書いてあったので、いつ出てくるかと思っていたら、聞き逃しましたね。
そのかわり、こんなセリフがありました。
「愛は私のものよ。あなたは理屈だけだもの。」
トリュフォー監督は、ラストで真夜中に、バッグに拳銃を忍ばせて男の家の周りをアルダンが歩くシーンを撮りながら、次回作は、彼女のために、軽妙なミステリーを撮ろうと決めたといってます。
アルダンの洋服が、テーブルに引っかかって、ストーンと落ちてしまうシーンはちょっとびっくり。
暗い映画なんですが、どこか淡々としていて、あまり感情的に盛り上げないのはフランス映画らしいところ。
二人の心の動きをとても丁寧に撮っている印象です。
トリュフォーの映画を見ていていつも思うことは、子供の撮り方が非常に上手ということ。
日本の映画やドラマは、子役に演技を要求してしまっていて、僕としてはシラけてしまうのですが、彼の使い方は非常に自然で、子供がいきいきと見えます。
ファニー・アルダンは、プライベートでも、トリュフォー監督の最後のパートナーになった女優さん。
彼女のスラっと伸びた長い足が、トリュフォー監督は、ことのほか、お好みだったようですな。
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