こちらは、その一年後。
平成十三年の四月に読んだ短歌。
残念ながら、あまり進歩はないようです。
平成十三年四月
「愛してる」「綺麗だとても」「素敵だよ」ここぞとばかりにエイプリル・フール
春休み新しい顔の主たちひっそりと待つ鉄筋校舎
「なにかやる」虫の知らせが疼く日は「なにかやる」まで落ち着かずおり
鮮やかに花壇うめたる春の花クレヨンの箱開けたるがごとく
新年度抱えた問題まずは置きなにはともあれ気持ちはリセット
本能に刷り込まれている悪魔たち「意志」という剣使えてこそ人
パソコンの機嫌に一喜一憂し使っているのか使われてるのか
トラクター農作業する老人の携帯着信「島倉千代子」
チューリップ画用紙一面描かれた子供たちの絵のように咲き
春爛漫鉢植え占めるパンジーや物影に咲く菫らもまた
校庭でキャッチボールする父と子の傍らに咲くたんぽぽの花
客来ればカウベルが鳴る喫茶店珈琲の湯気とライラックの香
月明かり境内に上る石段で語らう二人見守る木蓮
梅の花いつのまにやら葉緑に旬過ぎてからちょっと後悔
春盛り海に繰り出す季節まで乙女の減量静かに始まる
ジャケットを肩にかけたり抱えたり手荷物ふえる春の午後かな
ベランダでパンパンパンと布団打つ主婦のストレス埃となりぬ
ラッシュアワー泳ぐ視線の行き先は合わさぬようにそれぞれの場所
ITがすすみアナログ管理職パソコン以外のトラブル探し
「マジキレタ」もう一人自分用意して罪をかぶせる言い訳であり
その昔「シラケの世代」も四十越え「マニュアル世代」にはっぱをかける
新首相人気もやる気も認めようでもその笑顔まだ早過ぎや
祭日の朝そぼそぼと雨が降り一仕事増える新聞配達
ゴールデンウィーク繰り出す家族連れ運転しているパパだけ笑わず
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