もう1本見たのは、「メリー・ポピンズ」
1964年製作のミュージカル映画です。製作は、ディズニープロ。
主演は、ジュリー・アンドリュース。
この映画は、あの有名な主題歌「チムチム・チェリー」の印象が強烈にありまして、
なにか、それだけであの映画を見たような気になっていたのですが、実は未見でした。
すべては、映画雑誌のスチールや、サントラ盤の印象なんですね。
まあどこかでちゃんと見ようと、iPad に仕込んでありました。
ジュリー・アンドリュースは、これが映画デビュー。
あの「マイ・フェア・レディ」の舞台で、ミュージカル俳優としては、確固たる地位を築いて
いましたが、映画はこれが初出演で、初主演。
しかもその映画で、いきなりアカデミー賞主演女優賞受賞。
まあ、製作者が、オファー当時、妊娠していた彼女を待ってまでも、この映画に出演
させたかったのがわかるくらい、彼女の魅力あっての映画ですな。
なんといっても、この映画のウリは、ディズニー・アニメとのダンス共演シーン。
もう、これなんざ「ディズニー・ランド」テイストそのもの。
アニメとの共演シーンで言えば、あのジーン・ケリーも、1945年の「錨を上げて」で、
「トムとジェリー」と一緒に踊っていますが、あれはもともと、「ミッキー・マウス」と
踊る予定だったのが、ディズニーから許可が下りなかったとのこと。
主演が、ジュリー・アンドリュースだったらどうだったでしょうか。
僕が好きなシーンは、不思議な魔法で、歌いながら、子供部屋を掃除するシーン。
指を鳴らせば、どんどん家具が生き物のように動いて、サッサカ片付いていくシーン。
まあ、この映画は、ミュージカルですから、楽しいシーンに仕上がっていますが、
ありシーンを見ながら、そのままホラー映画の演出にも使えるぞと思った映画監督たちが、
もしかしたらいたかもしれないと、チラリと思いました。
まあ、子どもたちにとっては、この新しい家庭教師は、のび太くんにとっての
「ドラえもん」みたいなもの。
「ドラえもん」といえば、ポピンズのカバンの中から、家具がどんどん出てくるシーンなんかは
まさにあの、なんでもでくるポケットそのもの。
藤子不二雄も、この映画を見ていて、あのアイデアを思いついたかもしれません。
彼女の演技で言えば、やはりラスト。
堅物だったお父さんと子どもたちが仲良く歌い踊るシーンを窓からジッとみつめる彼女の
表情ですね。
すべての感情を飲み込んで、じっと子どもたちを見つめる表情は絶品。
子どもたちとの涙涙の別れのシーンも、入れて盛り上げる演出もあったでしょうが、
あえてそれはせずに、そのまま、そっと空へ帰っていく静の演出。
これで、それまでの楽しいミュージカルシーンとの対比がぐっときいてきました。
やはり、この映画と、「サウンド・オブ・ミュージック」は、彼女の双璧。
この後、「スター」と「モダン・ミリー」あたりは、興行的にはこけてしまいましたが、
こちらもまだ未見。
しかしそうはいっても、一度ちゃんと見ておきたいという気にはさせられます。
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