もともとが、「遊歩道」「自然道」オタクです。
どこへ出かけても、この看板を見ると、ムズムズと歩きたくなる性分なんですね。
自然道には、どこが人間が、自然に対して、謙虚に向き合っている姿勢があって好きです。
自然の景観を損ねない程度に、人間が最大限配慮して歩けるようにした道。
それは、木道であったり、せせらぎかかる丸木橋であったり、岩に立てかけた階段であったりするわけですが、やはり、ここを歩いた人がいるという、不思議な安心感を感じます。
「環境破壊」と、大上段に構えてしまいますと、それはもう、こういう自然の中に、杭一本打ち込んでも環境破壊でしょう。厳密にいえば、人間が踏み入れた立った一歩の足の下にだって、数え切れないほどの生命があるという話です。
「手つかずの自然を残そう」などといってしまうと、それこそ、僕らは、飛行機にでものって遥か上空から眺めるだけしかなくなります。
もちろん、広い地球には、そうせざるを得ない自然環境もあるでしょうが、僕らの身近にある自然ならどうでしょう。
これは、やはり、あまり仰々しくならずに、こちらも行儀よくして、仲良く共存していきたいところ。
そういう意味では、人間手作りの「自然遊歩道」は、その象徴みたいなものでしょう。
どちら様も、ここからはみ出さないように、ごゆっくりと自然をお楽しみくださいというわけです。
さて、そんなわけで、ネットでみつけたのが「関東ふれあいの道」です。
関東一都六県をぐるりとめぐる長距離自然道。全長が1800㎞あるそうです。
今までも、ちょっと時間が出来たときには、あちこちに出かけていたのですが、
根がズボラなものですから、ろくな下調べもせずに出かけて、現地へついてみたら、通行止めになっていたとか、季節限定とか、はたまた、アクセスするバスが運行していないとか、そんなことはしょっちたゅうでした。
とにかく、計画的でないわけです。
旅は、そんないきあたりばったりを楽しむという面もありますが、確かにそれでは無駄も多い。
やはり、最低の下調べや、準備は必要だろうと思っていたところで、見つけたのがそういう人のために環境省によって企画された「関東ふれあいの道」。
ほとんどのコースが、10キロ前後で区切られており、無理なく1日かけて歩けるコースに設定されており、始点と終点のアクセス方法も教えてくれるので便利。
各コースも、テーマに沿って作られており、見どころや注意点も教えてくれるルートマップやパンフレットも、ホームページから拾えるので、僕のようないい加減な「旅好き」にはおあつらえ向きといえます。
関東ふれあいの道は、全部で160コースです。
全コースほ踏破すれば、認定証ももらえるということですが、とりあえずそれは考ええずに、マイペースで歩くことにいたします。
ということで、まずは、地元の埼玉県から始めることにいたしました。
埼玉県のコースは、全部で13コース。
僕にとっての、「関東ふれあいの道」はじめの一歩は、「水源のみち」。
2013年の5月26日晴天の日に出かけてまいりました。
このコースは、東京都の奥多摩側から、県都境にある棒ノ峯を上り、白谷沢の渓谷を下って有馬ダムのある名栗湖へ至るコース。
なかなかスリル満点の8.9キロでした。
自宅を出発したのが朝の6時。
バスで、川越に出て、そこから、JRを3回乗り換えて、青梅線の川井駅に到着したのが9時。
バスで、コースの出発点である上日向に向かいます。
バス停を降りてから、都道202号線を百軒茶屋まで歩いて、そこから、棒ノ嶺へ登る山道に入ります。
前方を6人ほどの若い男女の一団が歩いておりましたので、これは、目的地は同じだろうと踏んで、しばらくはついていきました。
しかし、こちらは、持参のビデオカメラであちらこちらを撮りながら歩いておりましたので、あれよあれよという間に離されて、気がつげは鬱蒼とした森林の中で歩いているのは僕だけ。
コースの目印として、樹木のあちらこちらに、青いテープが貼ってあります。
歩いている道が、怪しそうになってきたら、これを確認します。
さて、最初はいい調子で登っていたのですが、これがけっこうきつい急勾配。
次第に、息が荒くなり、膝が笑い出してきます。
スポーツシューズはもちろん履いていましたが、いわゆる登山靴でもトレッキングシューズでもないので、足の裏が薄い。
木の根や砂利を踏みつけて歩いていると、けっこう足の裏に負担が来ます。
前を行く若者たちの一団が各々持っていたストックも、もちろん所持していません。
駅の自動販売機で買った500mlのお茶のペットボトルも、あっという間にカラ。
「そちらさん。ちょっと、山をなめていないかね?」
どこからか、そんな山の声が聞こえてきそうでしたが、まさか、引き返すわけにもいかず、ひたすら、頂上らしきあたりを必死で睨みながら登っていきます。
途中途中で、頂上まであと何キロという看板が立てられているのですが、そこに表示されている数字の3倍も4倍も歩かされたような実感でしたね。
いよいよ、あれが頂上かなという付近まで来ると、かすかに、先に登って行った若者たちのグループの声が聞こえてきて、ほっと一安心。
お昼の12時を少し回ったくらいに、標高969mの棒ノ嶺山頂に到着。
そこには、東京側からだけではなく、埼玉県側から登ってきた人たちもいて、休憩所や、ベンチ、木蔭などのおもいおもいの場所で、すでにランチをしておりました。
頂上は、奥多摩山系をグルリとパノラマで見回せる大絶景。
しばし、ベンチに座り、山々の向こうにかすかに見える川越市街を探しながら放心状態。
次々に、頂上に到着する家族連れやカップルたちが、その絶景に声を上げるのを聞いておりました。
ツイッターでつぶやこうと思いましたが、当然のことながら圏外。
ランチなどもちろん用意しておりませんでしたので、案内図を見て、下りの埼玉県側のコースを確認し、名栗湖を目指して山頂を出発しました。
山歩きの下りは、ちょうど車でいえば、エンジンブレーキで下りるような具合です。
登ってくる時は、下りてくる人とすれ違うことはありませんでしたが、埼玉県側から棒ノ嶺を目指してくる登山者はたくさんいます。
「山歩き」では、すれ違う時には、「こんにちわ」と挨拶を交わすことが、登山者の暗黙の了解になっています。
中には、シカトを決め込む人もいますが、とりあえずこちらから、声をかけまくりながら、山道を下ります。
下りは、ゴンジリ峠から、岩茸石を経て、白沢谷へ歩くルート。
白沢谷は、「水源のみち」のいわばクライマックス。
沢道の途中には、ロッククライミング並みのスリリングなポイントもあります。
あまり大きなものはありませんが、小川の途中にある滝もバリエーションに富んでいて僕好み。
我を忘れて、ビデオカメラをまわしておりました。
前方に、名栗湖が見えてきたところで、山道下りは終了。
出口(向こうからくる人かせすれば入口)にあった「白谷の泉」で顔を洗って、水分補給。
これは、美味しかったですね。
名栗湖のほとりは、もちろん舗装されていて、さくさく歩けます。
有間ダムは、一度来たことがありましたが、山歩きを終えてからの味わいはまた格別。
湖のほとりのレストランで、山菜そばと「ますの塩焼き」を頬張って、今回の山歩きは終了。
およそ5時間歩いて足はパンパン。この次は、トレッキングシューズとストックくらいは仕入れて挑むことに致しましょう。
てなわけで、早くも、次のコースに思いを馳せて、戻って参りました。
では、5時間の自然散策コースを、10分にまとめた動画をどうぞ !
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