平成12年、13年頃は、短歌がマイブームでした。
短歌とてっても、まあ川柳に近いのかな。
十月の季節を織り込んだ、12年前にタイムスリップ。
平成12年10月
スポーツの祭典ついに閉幕しいつもの道をちょっとジョギング
神無月季節はすっかり秋なのに夏抜けきらずくしゃみひとつ
熟れすぎた柿がポトリと落っこちて恨めしそうに木を見上げおり
すぐそこで鳴ってるケータイ見つからずいらいらするやら情けないやら
秋雨やいつもの自動販売機そろそろホットも欲しくなる頃
極上の食材並ぶ料理ショー我が食卓の秋刀魚眺める
北からの葉書きはそろそろ山々がお色直しを始める便り
ススキの穂手招くように信州路プカリと雲吐く浅間山かな
湯の宿や浴衣に着替え時計置き浮世を離れてまずは一風呂
素裸で山抱きしめる露天風呂紅葉と我が身遮るものなし
夕暮れの湯の香漂う湯畑にカンコロリンと下駄響かせる
土手の道子連れの鴨が顔を出しブレーキ踏ませる夕暮れ近く
秋時雨金木犀の葉が湿り雨支度までするほどもなく
朝寒や日が射しはじめればジャケットが一枚荷物の秋の午後かな
美しき自覚持ちたる胡蝶蘭見られることでさらに輝き
街路樹を撫でてゆく風に肩すぼめ世紀をまたぐ冬出番待ち
栗の実がはじける音に老人の手握る子がいる焚火かな
仕事中ぽっかりあいた一時間開いた文庫に落ち葉一枚
日本一誰もが見たいその人の笑顔が中舞う東京ドーム
病院から父連れ出して風呂食事それだけのことで一日がかり
布団からはみ出し寒くて目が覚めてベランダで鳴く雀と目が合い
秋深しシャワーを蛇口に切り替えてたっぷりつかる日曜の朝
平成13年
早朝に校門に並ぶ家族連れ運動会の特等席取り
レストランママの肩越しのやんちゃ坊主しばしフォーク置きにらめっこかな
狂牛病格安値段の牛丼を食べようとしてじっと見つめる
川縁で危険水位を見つめおる老人一人雨降り止まず
秋晴れの土曜日の朝通勤路このまま北へハンドル切ろうか
いつまでも夏の気でいる無精者明け方になって布団にくるまり
一度見たテレビの録画徒然にさあ取り戻すか自分の時間
貨物船行き交う湾の懐に丸太一本漂っており
人間の世界に飛び出た雨蛙哀れ轢かれて南無阿弥陀仏
明け方に昔の恋の夢を見て目覚めて眺める今日の傍ら
お茶漬けと鯵のひらきの朝食を小津の映画の構図でいただく
週末に文庫三冊買い込んで携帯を切り浮世とおさらば
最終回約束どおりの結末が見えてて泣ける四十の涙腺
暑いのか寒くなるのかそこんとこはっきりしてくれ秋のお天気
夜更かしの翌朝哀れ目覚ましは罪もないのに頭殴られ
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