さて、絶好のトレッキング日和の昨日、前回の「大霧山に登るみち」を歩いた8月から
およそ3ヶ月ぶりに、「関東ふれあいの道」の6番目のコース、
「花の美の山公園を訪ねるみち」を歩いてまいりました。
季節は、もうかすっかり晩秋。
真夏に歩いた前回と比べますと、山の季節も様変わり。
秩父線「親鼻駅」から、万福寺、美の山公園、二十三夜寺、常楽寺を経て、
前回コースのゴールだった「高原牧場入口」バス停までの、
8.2キロを歩いてまいりました。
・・と書き出しましたが、実は現地に到着するまでの、朝がスッタモンダ。
川越から、東武東上線の終点・寄居駅、そこから秩父線に乗り換えて、
皆野まで向かったまでは良かったのですが、
皆野から乗った西武バスで、思わずウトウト。
気がついたら、降りるべきバス停を乗り過ごす大チョンボ。
結局、バスの終点の「秩父駅」まで行って、折り返しのバスで戻ろうと思ったら、
ここで待っていたバス停を間違えたらしく、気がついたら、バスは行ってしまった後。
iPhone の、Navitime と相談の結果、再び秩父線に乗って、このコースのゴールである
「親鼻駅」から、「高原牧場入口」バス停までを、逆から歩こうと決めましたが、
「親鼻駅」のホームに降り立った時には、すでに11時。
当初の予定よりも3時間のロスです。
幸い、今回のコースは、ファミリー向けの比較的短いコースでしたので、それでも
急いで歩けば、なんとか追っつくだろうと、早足でスタートいたしました。
まずは、駅からすぐの「万福寺」。
このお寺は、真言宗豊山派の寺で、本尊は阿弥陀如来。
平安中期の開山と伝えられていますから、歴史はかなり古い。
現在の建物は、昭和6年に再築されたもの。
秩父十三仏霊場の一つとして知られている寺です。
秋の秩父の山を背にして、ひっそりとした佇まいでした。
さて、ここから、美の山の山頂までは、蓑山神社を経て、およそ3キロ弱の山道。
美の山の山頂の標高が、583メートルほどですが、今まで歩いてきた山道に比べれば
かなり楽勝なはずなのですが、やはり3ヶ月のインターバルはききましたね。
体感はかなりハードに感じました。
どこぞの大学のサークルの山ガールたちが、キャッキャッと、はしゃぎながら
歩いて行くのを横目見ながら、54歳のオヤジは、歩きはじめて10分ほどで、すでに息切れ。
やはり、体というものは正直です。
きちんと、続けていないと、テキメンに現れますね。
山頂の美の山公園に到着したのは、12時30分。
管理センターにチラリと人影が見えましたが、晴れた日曜日で、登山客の姿はなし。
やはり、この山は、関東の「吉野山」と言われているところですが、
見頃は、桜が咲き乱れる四月。
この時期に登ってくるのは、「いきあたりばったり」を信条とする、僕のような物好きな
旅人位のものなのでしょう。
しかし、ビデオを回す立場から言えば、人で溢れかえっているよりも、それはそれで
風情があります。
この美の山は、秩父地方では唯一となる独立峰。
ですので、山頂からの景色は、およそ360度のパノラマ。
園内をくまなくあるけば、絶景のスポットはたくさん見つかります。
公園になっていますので、インフォメーションセンターを中心に、
この山での観光は、丁寧に整備されていて、家族や団体で訪れるには
もってこいのスポットかもしれません。
さて、ここまで登ってくれば、後は下りです。
登りは、しんどかったので、あまり余裕も無いのですが、ここまで来て、なんとか、
スタートの遅れを取り戻せましたので、後はゆっくりと秋の自然をカメラで拾いながら
歩くことにいたしました。
まず、紅葉ですが、これは「秩父観光なび」を見る限りは、このあたりはちょうど
今が見頃となっておりましたが、山はそれほどでもありませんでした。
それでも、ところどころで、赤く色づいている樹木は散見。
さて、ここから二十三夜寺までは、3.3キロの下り道。
ここからペースは一気にあがます。
山道は、落葉の絨毯状態。
夏には、あれだけ元気に、僕の前でパフォーマンスを繰り広げてくれた昆虫たちは、
秋のせいなのでしょうか、完全になりをひそめています。
こりあたりの雑木林は、クヌギやナラが中心。
その他、このあたりに群生している樹木は、ヒノキ、スギ、テイカカズラ、サカキなどなど。
恥ずかしながら、樹木に下がっているプレートを見なければ、どれがなんの樹木なのかは、
ちんぷんかんぷんですが、万葉の歌人たちは、この鬱蒼とした山に生きているこれらの
樹木をみながら、歌を詠んだわけです。
今ならほとんどの人がデジカメでパチパチやるところですが、そんなものがなかった
時代の人は、その代りに歌を詠んだ。
考えてみれば、今の時代の僕らよりも、はるかに文化的で、すぐれた知識と感性を持っていたんだなと
思いますね。
いくつか紹介しておきましょう。
ひさかたのあまの原生まれ来る(あれきたる)神の命(みこと)奥山の賢木(さかき)の枝に白香普け
(坂上郎女)
山狭(やまがい)に咲ける櫻をただひと目君に見せてば何を思はむ
(大伴池主)
つるばみの一重衣のうらもなくあるらむ児ゆえ恋ひ渡るかも
み芳野の真木立つ山に延ふ蔦の帰きし別れのあまた惜しきものかも
味酒(うまざけ)を三輪の祝(はふり)が斎ふ杉手触れた罪か君に遇いいがたき
(丹波の大女)
鳴る神の音のみ聞きし巻向の檜原の山を今日見つるかも
文だけ読んでも、ほとんどピンときませんか、実際の自然の中にいると、おぼろげながら
短歌の情景も、膨らんでまいります。
では、短歌とはまいりまませんが、皆野の山の中、デジカメで拾った「秋」をいくつかご紹介。
さて、二十三夜寺まで、下りてくれば、ゴールはもう間近。
ここまでくると、民家もちらほら。
二十三夜寺は、「三沢の三夜様」と呼ばれて、このあたりでは古くから親しまれてきたお寺です。
由来をたどれば、かの聖徳太子。
彼が、この地を訪れた際、自ら薬師如来を彫刻し、草葺の家を建て、安置したというのが始まり
と伝えられているそうです。
そして、後に行基が今の本尊である「勢至菩薩像」彫刻し、これが智恵の象徴とされ、
多くの人に信仰されて来ました。
要するに、頭の悪いやつは、ここに来て、お参りしろという話ですね。
ここも、万福寺と同じく真言宗のお寺です。
街道から、車でも上がってこられるところなので、ここは参拝客もチラホラでした。
さて、ここから常楽寺までは、1キロほどの山道なのですが、ここで道を間違えてしまいました。
本当なら、山道を下るはずが、二十三夜寺から、バス通りまで降りてしまったんですね。
幸い、iPhone の圏内でしたので、現在地を検索。
そこからゴールの「高原牧場入口」まで歩いて、バス停から、常楽寺まで上ってまいりました。
なにやら、この寺は、ほとんど民家の佇まいで、ちょっと入っていいのかなという雰囲気でしたが、
せっかくですから、鐘だけカンカンと鳴らして、バス停まで戻りました。
さて、以上で、「関東ふれあいの道」6番目のコース踏破完了。
埼玉県のコースは、残り7つ。
これから暮れにかけて、仕事も忙しくなってまいりますが、出来る限り時間を作って、
出かけたいと思います。
さて、それでは、全4時間の行程を、15分ほどにまとめた動画です。
どうぞご覧くださいませ。
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