相変わらず、昔の日本映画のポスターのイラストを描いて遊んでいます。
ゴミを片付けた部屋がひとつ空きましたので、ここに今まで描いてきたイラストを貼りまくる予定。
自宅ギャラリー構想です。
さて、今回は、昭和三〇年代の新東宝のキワドイ作品を三本。
もちろん未見です。
まず、「黒い乳房」。
1960年の映画ですが、まずタイトルがすごい。
僕が生まれた頃の映画ですが、もしも映画がみれるなら、僕なんか、もうこのタイトルだけで、
映画館に走ったクチでしょう。
主演が若き日の菅原文太。
池内淳子なんていう名前も見えます。
昭和30年代の映画ですから、映画の中でどこまでのシーンがあるのかわかりませんが、
とにかく、このポスターには、街行くスケベ男たち足を、ちょっとふらふらと映画館に向けようという、
エネルギーにあふれていて、僕なんかには、名監督の名作映画のポスターより
はるかに面白い。
Amazon で調べてみたら、DVDは発売されていました。
しかし、高価なので手が出ません。こういうクラシックな映画は、NHKのBS が頼みなのですが、
まさか、NHKが、新東宝のエログロ作品を放映することはないでしょうから、
これはポスターで楽しむことにしましょう。
スカパーなんかで、この手のいにしえのB級映画専門のチャンネルでもないものか。
おそらく見てしまえば、まあこんなもんかというところなのでしょうが、映画が娯楽の王様だった
頃のエネルギーにはあふれていて、面白そうです。
そうそう、ポスターはカラーですが、この映画はもちろんモノクロ。
さて、お次はこちら。
こちらも1960年公開の「裸の谷間」。
こちらも主演は、菅原文太ですが、やはりこの手のタイトルですから、ポスターを飾るのは、
相手役の三条魔子の背中。
キャッチコピーが、またスゴイ。
「小麦色の肌が踊る思春の歓喜」「野生の女達の奔放な愛欲!」
今のAV作品にも、そのまま使えそうなキャッチコピーです。
こちらは、DVDも発売されていないようなので、ポスターで楽しむしかない。
もう一本いきましょう。
これは、なんといってもこのタイトル。
「女体渦巻島」ですよ。なんといっても。
こちらは、DVDがありますね。
「全女性憧れのハンサム」という、この超B級テイストな、キャッチコピーで紹介されているのが
吉田輝雄。
敵役が、あの苦み走った天知茂。
これも1960年の作品。
新東宝は、1961年に倒産してしまいますから、新東宝のエログロ路線映画、ほとんど
この頃に集中しています。
とにかく、当時の新東宝の大蔵貢社長の、ポリシーは徹底しています。
娯楽映画に、芸術性は要らない。では、必要なものは何か。
バイオレンス、エロティシズム、弱きを助け強きをくじく、スリルとサスペンス。
小理屈はいらない。人間が本能で求めているものに、徹底的に答えようと、
当時の新東宝のスタッフたちは、過剰なまでのサービス精神で映画を作ります。
そこで、たとえ、なんだよこんなもんかと思われようと、ひたすらポスターとキャッチコピーで
煽って、そんな客を何度でも映画館に呼ぶ。
なんのかんのといっても、あの映画の黄金時代、映画産業を支えていたのは、一部の
名作郡ではなく、やはりこういったB級プログラムピクチャーだったことは間違い無い事実。
といいますか、こういう数あまたあるB級映画で観客を動員していたからこそ、小津安二郎も、
溝口健二も、黒澤明も、木下恵介も、採算を考えずに、作家性のある作品を撮る事が
出来たという事でしょう。
今となっては、そういう巨匠たちの名作郡しか、我々はクラシックとして見ることがで
きないわけですが、やはり、今も昔も、男たちのスケベ気質は一緒。
今は、そういう男たちのニーズは、AVが一手に引き受けてしまっていますが、もういい加減
それも見飽きてきたスケベ親父としては、この頃の新東宝のエログロ作品を
見ることができたら、これはこれで意外と新鮮かもしれません。
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