WOWOWお得意の硬派ドラマ。
主演は、山本耕史。共演に小澤征悦、戸田菜穂。
事件を担当する刑事で、いい味出していたのは柄本明。
死刑裁判をめぐる法廷サスペンス。
死刑廃止のオピニオンリーダーでもあった弁護士が、自分の妻が殺されたその裁判では、一転して容疑者には死刑を求める。
これが、あまりにコロッと変わりすぎで、ここのところをもうちょっとちゃんと描けなかったかという印象。
2時間という尺では、後半の展開を考えると、そうもしていられなかったかな。
その弁護士が、この事件の後で、すい臓がんが発見されるという展開。
でも、これは後半の法廷での展開をメインにするのだったら、潔く捨ててよかったかもしれない。
ここで、同情票を集めようというのは、少々安易。
公平な司法判断と、遺族感情とのギャップ。
死刑基準そのものを、公式文章にすることはやはり難しい。
すべては、ケースバイケース。
一つ一つの真実を積み重ねて、全体を俯瞰し、熟慮しなければ、やはり望ましい判断にはたどりつかない。
いや、そこまでしても、辿り着いた判断は、どこかで真実とは微妙にずれているかもしれない。
それでも、被害者にも、加害者にも、感情に流されない公平な判断をするために、法律はあり、裁判というしくみはある。
「事件」が起きて、起訴されれば、やはり「答え」は出さなければいけない。
となれば、そこに携わる人に、たとえ真実には辿り着かなくとも、その「答え」を委ねるしかない。
正確な真実には辿り着かないとわかっていても、出さなければいけない答え。
そこで出た答えに、知らず知らず当事者たちさえも、捻じ曲げられてしまう怖さ。
つまるところ裁判は「人」。
司法判断は、要するに、いろいろな「人」の感情のフィルターを通した最小公倍数的判断であるということ。
「人」が「人」を裁くことは難しい。
だからこそ、裁判はとても面白いドラマ的素材になるわけです。
このドラマも然り。
かなり重い、興味深いテーマを扱いましたが、ちょっとあっさりと綺麗にまとめすぎたかな。
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