2011年に制作された和製ハードボイルド映画。
札幌出身の小説家・東直己の「ススキノ探偵」シリーズが原作。
舞台となるのは、札幌の歓楽街ススキノ。
主演は、同じく北海道出身の俳優・大泉洋。
その相棒には、松田龍平。
この映画は大ヒットしました。特に北海道の集客が、都内を上回ったというのはわかる気がします。
ただ個人的には、ハードボイルド映画に、大泉洋というキャラはいかがなものかという思いは多少あり。。
確かに、タフな探偵にふさわしく、肉体もそれなりに磨いて、恥ずかしくないボディに鍛えてありましたが、ハードボイルドはやはり生身のボディよりは人相。
彼はコメディには確かなセンスを持っているのは認めますが、タフガイの人相かというと、ちょっと違う気がします。
ボコボコにやられて、腫れあがった顔も、「用心棒」の三船敏郎や、「チャイナタウン」のジャック・ニコルソンだと凄みに感じられますが、彼だとギャグと紙一重になってしまうという悲しさはあります。
探偵を主人公にしたハードボイルド映画は、古今東西星の数ほどあります。
その主人公たちは、みんな苦虫を潰したような顔つきのワイルドでタフなキャラ。
ハンフリー・ボガード然り、ポール・ニューマン然り、クリント・イーストウッド然り(ダーティ・ハリーは刑事でしたが)
思えば、そんなステレオタイプのニヒルな探偵という役柄に、コメディエッセンスを上手に持ち込んだのは、あの伝説のドラマ「探偵物語」の松田優作でしょう。
あのテレビシリーズの、オープニング映像は、ちょっと衝撃的でしたね。
そういえば、その松田優作の遺子・松田龍平が、この映画では、主人公の探偵の相棒役で出演していました。
さて、映画の中の、ヒロインは、小雪。
彼女は好きな女優です。あの日本人離れしたスタイルは映画映えしますよね。
あのラストなども、そんな彼女が演じれば、ビジュアルとして成立します。
これは、演技の上手い下手ではない。
やはりビジュアルです。
ハードボイルドのヒロインは、すべからく「謎の女」であることがお約束。
「聖女」か「悪女」か。
そのどちらにも見えなければ成立しない役どころ。
実はこれ、ことハードボイルド映画に限って言えば、「演技力」で表現してはいけません。
ただその佇まいで表現できなければハードボイルド映画のヒロインにはなれない。
日本にはそんな女優はそうはいませんが、この映画の彼女は合格だと思います。
この映画のヒットした要因何かと考えてみます。
俳優の魅力か。
監督の力量か。
シナリオの巧みさか。
もちろんどれも水準以上のレベルではあります。
でもそのどれかが、映画をけん引したということでもない。
だとすると、これらを上手にコーディネートして、ヒットする映画を考案した奴が偉い。
そんな風な感想を持ちながら、エンドロールを見ていたらドッキリ。
なんと、僕の中学時代の同窓生の名前を発見しました。
企画・香月純一。
もちろん彼とは同じくクラスになったこともなく、友だちというわけでもありません。
ただ、同窓会の世間話で、彼がテレビ関係の仕事をしているというのは聞いていました。
確か、クラスの自治委員(学級委員)をやっていて、学校の自治委員長もやっていました。
当然学業優秀。
ただ、そんなことよりも僕が覚えているのは、彼は「虫歯が一本もない」ということを、体育の担任が褒めちぎっていていたこと。
僕はもうこの年で、自分の歯は見る影もありませんから、彼が笑った時の、白くて健康的な歯が、妙に思い出されます。
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