もう、なんですか。
また、やってるんですか?
そりゃ、「short cut」では、褒めちぎりましたよ。
そのトライはさすが、三谷幸喜。
ワンシーンワンカット映画に果敢に挑戦した、脚本家魂を絶賛いたしました。
でも、それが評価されたと言っても、これは、そう何回もやってはいけません。
あのヒッチコックだって、ワンシーンワンカットに挑戦したのは、彼の長いキャリアの中であの「ロープ」一度きり。
そして、あのトライは、あの一度きりだったからこそ、今でも評価されているわけです。
ワンシーンワンカットという映画の作り方は、普通に撮影していれば、普通にできる演出の多くを犠牲にしています。
その代わりに、カメラを止めないことから発生する、現場の緊張感をすくいあげている演出。
舞台演劇を多く演出してきた三谷監督だからこそのこだわりがあったのでしょう。
見ている方としても、ワンシーンワンカットゆえの、多少の演出の無理は、最初の一回なら我慢できました。
でもですよ。
これを続けてやるとなると、見る方も学習します。目が肥えてきます。
当然今度は、このワンシーンワンカットでないといけないという演出上の必然性があるのかという話になります。
でも、「大空港」というタイトルからこっちが勝手に連想してしまう、パニックアクションシーンは一切なし。
ただ、ひたすらローカルの松山空港のグランドスタッフ竹内結子と、ワケあり家族とのスッタモンダを、これでもかこれでもかと見せてゆく展開。
生瀬勝久、戸田恵梨香、オダギリジョー、香川照之といった芸達者を並べて、ドラマを盛り上げてはいますが、やはり見ている方としては、前作「short cut」ほどの緊張感は維持できず。
もちろん、飽きさせてはいけないと、三谷監督の脚本は、あの手この手のハプニングのてんこ盛り。
まるでジェットコースター。
でも、これがよくなかった。
やり過ぎですよ。明らかに。
そもそも、こんなにいろんなことが、たった二時間弱の中で起こる道理がない。
しかも、地方空港という限られたスペースで。
前作「short cut」にはあった、リアリティが、このドラマでは完全に消滅していました。
役者も、通常のドラマ撮影の何倍もの緊張感を強いられた中での熱演には間違いなかったんですけどね。
撮影スタッフにおいては、それ以上の緊張感があったはずです。
もういいと思いますよ。
この企画はこの辺で。
但し、ワンシーンワンカットは、やはり演出としては、見応えがあることは事実。
やりすぎない程度に、ここぞという場面でトライしてみてください。
最後に一言。
でも、このドラマの、竹内結子はよかったなあ。
前から好きな女優さんでしたが、さらに一層ファンになりました。
この手法は、誤魔化しがきかない分、役者の魅力を引き出すにはいいのかもしれません。
さて、次は、なにか彼女の出演作品を見ることにしますか。
ワンシーンワンカットではないやつをね。
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