東宝の人気女優だった星由里子さんが、5月16日に亡くなりました。
74歳。
彼女の当たり役といえば、なんといっても加山雄三の「若大将シリーズ」のヒロイン澄子役。
僕のちょっと上の団塊の世代の男性たちには、忘れられないヒロインでした。
しかしなんといっても、僕らの世代での彼女といえば、忘れられないのはゴジラ・シリーズのヒロインとしての彼女。
筋金入りの怪獣オタクだった僕には忘れ難い女優さんです。
その中でも僕が一番印象に残っているのは、1964年(東京オリンピックの年)に公開された「モスラ対ゴジラ」での彼女。
僕にはこの映画のヒロインの印象が強烈です。
「モスラ対ゴジラ」は、なんども繰り返し見た映画でしたね。
しかし、Wiki で調べてみると、彼女が東宝のゴジラシリーズに出演していたのは、この作品と、同じ年に作られた「三大怪獣 地球最大の決戦」の2本のみだったのは意外でした。
もっとたくさんの、ゴジラ・シリーズに出演していた印象でした。
「モスラ対ゴジラ」での彼女の役は、当時としてはまだ珍しかった女性カメラマンの役。
この彼女のキャラクター設定には、実はモデルとなる女性が存在しました。
それは、この映画の監督だった本多猪四郎の奥様。
彼女は、戦前の東宝撮影所でスクリプターをやっていた人です。
あの当時では珍しい、バリバリのキャリア・ウーマンでした。
男勝りで、自分の意見はきちんという女性。
実は、彼女とは、本多猪四郎と、当時まだ新進気鋭の監督だった若き日の黒澤明の間に、彼女をめぐる恋のさや当てもあったようです。
しかし、そんな彼女が最終的に夫として選んだのは黒澤明ではなくて本多猪四郎。
ですから映画で本多猪四郎が演出した星由里子のキャラクターには、多分にスクリプター時代の奥様のイメージが反映されていたとか。
映画評論家の、町山智浩がそういっていました。
そして、この映画での彼女のキャラクターは、後の大人気テレビシリーズ「ウルトラQ」で、桜井浩子が演じた毎日新報の報道カメラマン江戸川百合子に引き継がれ、やがては特撮シリーズのヒロインの定番キャラへとなっていきます。
ちなみに、僕の好きだった当時のアニメ「スーパージェッター」のヒロインだった水島かおるにも、この映画のキャラクター設定は踏襲されていましたね。
星由里子の芸能活動は息が長く、その後も舞台やテレビドラマ、ワイドショーや、バラエティにも活動の幅を広げていらっしゃいました。
怪獣少年たちの憧れのヒロインだった星由里子さん。
心よりご冥福をお祈りしたします。
合掌。
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