ここ最近、YouTube で国会中継をよく見るようになった。
きっかけは、モリカケ問題の国会質疑からだが、最近のメインはやはり厚生労働省の統計不正問題。
指摘されているのは「毎月勤労統計調査」。
これは、安倍内閣がことさら成果として取り上げるGDP(国内総生産)の算出にも用いられる政府の基幹統計。
これがちゃんとわかっていないと、労働環境の変化は正しく認識することはできないというわけである。
まだまだ内閣を続けて、歴代首相在位期間の記録を作りたい色気満々の安倍総理。
そのためには、この6年間の成果を、なんとしても国民にアピールしたい。
しかし、在位期間が長い割には、実績とその数字が伴わないのがこの内閣。
ここは、こういう時のために強固にしてきた権力をフル活用して、その数字をかさ上げして、自分たちの成果にしてしまおうと思ったがどうか。
はたして、その示唆が首相からあったかどうか。
この点が、現国会で、まさに野党の議員たちがつまびらかにしたいと追及している争点。
なにせ安倍内閣は、2014年より官僚たちの人事権を掌握して、コントロールできるお強い立場。
官僚たちは、自分たちの保身のために、次第に学習し、空気を読み、指示されていなくても、内閣のご意向に沿うようにと、禁断の忖度が蔓延する。
もしくは、それが忖度ではなく、実際に内閣からの指示であったとしても、彼らは、口が裂けても口外しない。
内閣を守ることが、自分の所属する組織を守ること。
そして、組織を守ることが、自分の将来も守ること。
そのためには、公式文書、公式統計さえも改ざんすることも厭わない。
これを徹底的に学習している彼らの、国会における答弁は見事という他ない。
嘘を嘘に見せないはぐらかし答弁。それを貫く意志の固さ。そして鉄壁のチームワーク
それは、もはや痛々しいを通り越して圧巻。
しかし、悲しいかな、数学が大苦手であるこちらには、国会答弁の中に頻繁に出てくる統計専門用語がまるで理解できないわけです。
とにかくそこには、明らかに、「不正」があって、どうやら政府からのバイアスもあるらしいという空気は読めるけれど、指摘されている詳細がちんぷんかんぷん。
不正の骨子は、本来全数調査をすべきところをサンプル調査にして、それを補正せず、15年もの長きにわたり放置していたというもの。
しかし、ベンチマークがどうとか。
参考値がどうとか。
名目賃金がどうとか。
ローテーションサンプリングがどうとか。
Wikipedia でにわか知識を詰め込んでも、やはり、こちらの頭に「数学脳」が基本的に欠如しているのですっきりしない。
これでは、せっかく聞いている国会質疑も、面白さ半減。
そこで、追求する野党の議員先生たちも読んで勉強しているという本書を手に取った次第。
著者の明石氏は、専門家として、国会にも呼ばれておりました。
明石先生、この本を手にする読者は、僕のような統計門外漢が多いということは十分に想定していたようで、構成は人気漫画「ブラックジャックによろしく」を下敷きにした問答形式。
たしかに、わかりやすく解説してくれておりました。
さあ、それで、国会の統計不正問題の内容が理解できるようになったのか?
まあまあ、それは・・・
統計の何たるかなんて、素人が一朝一夕で理解できるシロモノではありませんでした。
しかし、思い至ったことは、こういう不正をやろうとした官僚諸氏の気持ちの中に、こういう思いがあったろうということ。
「どうせ、国民は統計の数値なんてそれほど気にしていない。多少の粉飾を施しても、理解できるわけがない。だったら少しくらい・・」
そうなんですよ。
やはり、こんな不正が行われてしまった背景には、実は主権者である我々の統計に対する無知と無関心を官僚たちが見越していたということ。
どうもそこに行き着きますな。
実際不勉強であることは間違いないわけで、要は、舐められているというわけ。
やはり、一国民としては、それはいかにも不愉快。
安倍総理にも「国民はバカだから」と思われているのかと思うと、やはり悔しい。
バカはバカなりに努力せねばなりますまい。
で、アベノミクスって結局何なのか。
どうやら、経済政策の失敗例として、今後も語り継がれていくと思われます。
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