昨年公開の日本映画。
主演は、綾瀬はるかと坂口健太郎。
ファンタジーが不得手な日本映画としては、頑張りました。
映画愛に満ち満ちた作品ですね。
スクリーンの向こうから、こちらの世界へやってきてしまったヒロインと、映画華やかし頃の助監督との切ないラブロマンス。
そして、老人となった助監督を演じたのが加藤剛でした。
そうか、あの「砂の器」の和賀英良も、すでに80歳となっていましたか。
歳をとらない綾瀬はるかと、歳をとった彼が並んで歩く姿は、ちょいと感慨深いものがありました。
スクリーンの向こうと、こちらの世界が一緒になってしまうというファンタジーは、けっこうありますね。
このジャンルを得意としたのは、ウッディ・アレン。
1972年の「ボギー!俺も男だ」は、名作「カサブランカ」へオマージュを捧げた作品。
1985年の「カイロの紫のバラ」は、不幸な家庭生活を送る主婦ミア・ファローが、スクリーンの中に逃避していく物語。
この映画の元ネタかもしれません。
触れ合えない二人のキスは、ガラス越しというシーン。
これは、1950年の日本恋愛映画のクラシック「また逢う日まで」で、岡田英次と久我美子が同様に演じていました。
多感な頃に見た映画のヒロインは、今でも、歳をとらずに自分の心の中にいる。
「おもいでの夏」のジェニファー・オニール。
「小さな恋のメロディ」のトレイシー・ハイド。
「青い体験」のラウラ・アントネッリ。
「冒険者たち」のジョアンナ・シムカス。
映画の中での彼女たちの魅力にときめいた十代の頃の記憶。
それは、還暦を迎えたいまでも、その輝きを失っていません。
記憶の中の彼女たちは、こちらがどれだけ老いぼれても、当然ながら当時のスクーンの中のまま。
ズルイといえば、ズルイ。
そんな映画ファンなら、誰でも持っている気持ちを、上手にすくってくれた映画でした。
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